歌う国民―唱歌、校歌、うたごえ (中公新書)

歌う国民―唱歌、校歌、うたごえ (中公新書)

  • 購入理由:2008年8月18日付2009年6月21日付2010年5月24日付の各本備忘録でも触れた「自治体歌」(と,下名が勝手に呼んでおりますが).2010年9月22日付の下野新聞にて紹介された,壬生町における「「町民の歌」の普及」*1の取組を拝読させて頂くと,「自治体歌」がもつ(又は,期待される)効用とは何かを非常に考えさせられる.本書では,「コミュニティソング(共同体歌)」(46頁)という,いわば,artとしての観点のみならず,art of stateとしての観点から,「唱歌」を多面的に考察された一冊.書店で何気なく手に取り,目次を拝読させて頂くと,第5章では「県歌」を扱われており,下名,上記のような「自治体歌」の形成とその効用への関心からも,すぐさま購読.同章では,「一見したところ「県歌は歌われない」というひとまとまりの現象にみえるものの内部に分け入り,それぞれのケースでどのような要素が働き合っているのかを個別にもう少し丁寧に見極めることが必要」(177頁)との認識から,長野県の「信濃の国」と秋田県の「秋田県民歌」と「県民の歌」を主たる対象に,「国レベルの文化の動向と不可分」(178)であることを明らかにされている.非常に楽しく,勉強になる一冊(同テーマで,もう少し調べてみたくなりますね).