大阪市港区内の児童が描いた「放置自転車禁止絵画」を図柄にした路面シートの張り付け作業が10日、JR弁天町駅周辺で行われた。道をふさがれ困っている歩行者の姿などが描かれ「自転車なくなったらスッキリ」と、マナー向上を呼び掛けている。
 市は、シート上に自転車が放置されない効果を期待し、同区内の4年生から6年生を対象に適正利用を呼び掛ける絵画を募集。301点の応募の中から入選100点を選び、シートを作った。シートは縦62センチ、横68センチ。駐輪場の収容台数に空きがあるにもかかわらず、放置自転車が多い同駅と市営地下鉄朝潮橋駅周辺に10月下旬から97枚張り、この日は、最優秀賞と優秀賞に選ばれた3作品を描いた児童3人と平松邦夫市長らが残る3枚を張り付けた。
 自転車に進路をふさがれた車いす利用者の姿とともに「歩道は駐輪場ではありません」と訴え、最優秀賞に選ばれた松坂優里奈さん=田中小6年=は「歩道に放置された自転車で歩きにくそうにしている人の姿を見たときの思いを描いた。自転車は駐輪場に止めてほしい」と話していた。

本記事では,大阪市における放置自転車対策を紹介.同取組の詳細に関しては,同市HPを参照*1
同市では,「港区内の小学校4年生から6年生を対象」に「夏休みの宿題として平成22年9月10日(金)まで募集を行い」,「301点の応募の中から審査」を実施.その「結果,最優秀賞1点,優秀賞2点,佳作6点を含む入選作品100点を選出」され,「入選作品」は,本記事にて紹介されているように,「路面シート」として,「JR弁天町駅周辺・地下鉄朝潮橋駅周辺の道路(歩道)に順次貼付」*2されている.
駐輪場の設置以外で,例えば,「短距離の端末の交通手段」に留まらず,「利用を促進」することで「放置は少なくなる」*3等の種々構想される放置自転車への対策.同市の本取組は,路面に,放置自転車禁止への注意喚起を図る図柄を貼付され,いわば,「踏み絵」への回避という,「心理的方策」*4をも企図されているとも整理ができそう.興味深い.ただ,「善意の違反者」*5に対しては一定以上の効果も想定されそうではあるものの,いわゆる「確信犯」*6的に自転車を放置される方々にとってみれば,同「踏み絵」にも呵責なく(又は,良心の呵責から同図柄が貼付されている区画を回避され)放置され続けるのだろうか.要確認.

*1:大阪市HP(大阪市市民の方へ暮らし交通・道路・駐車場・駐輪場・河川駐車場・駐輪場駐輪場)「放置自転車禁止の路面シートになる児童絵画100点が決まりました〜路面シートを子どもたちと一緒に貼ります〜

*2:前掲注1・大阪市(放置自転車禁止の路面シートになる児童絵画100点が決まりました〜路面シートを子どもたちと一緒に貼ります〜)

*3:古倉宗治『自転車利用促進のためのソフト施策』(ぎょうせい,2006年)250頁

自転車利用促進のためのソフト施策―欧米先進諸国に学ぶ環境・健康の街づくり

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*4:藤井聡社会的ジレンマの処方箋』(ナカニシヤ出版,2003年)36頁

社会的ジレンマの処方箋―都市・交通・環境問題のための心理学

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*5:クリストファー・フッド『行政活動の理論』(岩波書店,2000年)67頁

行政活動の理論 (岩波テキストブックス)

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*6:前掲注5・クリストファー・フッド2000年:67頁