宮城県議会は11日、全議員で構成する予算特別委員会を開き、2011年度当初予算の編成方針を審査した。予算要求や編成作業に議会の意見を反映させるのが狙いで、東北6県議会で初の試みとなった。
 村井嘉浩知事は11年4月に導入する「みやぎ環境税」の使途や、主要施策の展開方針を説明。今野純一総務部長が歳入、歳出見通しを示した上で、266億円と想定される財源不足の解消策や変動要因を解説した。全6会派の代表が質疑を行い「農家の負担増になる事業は先送りを検討すべきだ」「外郭団体に出資金返還を求めてはどうか」などと歳入、歳出両面に注文を付けた。終了後、村井知事は「予算編成前に参考になる意見をもらい、大変良かった。何もかも予算化できない事情も理解してくれたと思う」と話した。畠山和純議長は「議会側の言いっ放しで終わらないように、意見を具体化させる仕組みづくりが今後の課題だ」と語った。予算編成方針の審査は三重県議会が1998年から取り組んでいる。

本記事では,宮城県議会において,2011年度の予算編成方針に関する審査が行われたことを紹介.同県議会予算特別委員会における審議内容は,同県議会HPでは把握できず,残念.審議された同県の予算編成方針に関しては,同県HPを参照*1
「各事業担当部局が予算要求の見積もり作業に入る前」「予算要求又は査定の指針」*2としての役割た想定されている予算編成指針.しかし,「10月から11月にかけての当初予算編成にとりかかる段階では予算要求額の枠組等の基本的な事項を示すにとどま」*3り,「枠」自体には,「総論的な記述は定型化しやすく,財政当局の自己満足でおわってしまう」*4おそれが指摘されたこともある.そのため,本記事でも「予算要求や編成作業に議会の意見を反映させるのが狙い」とも同取組を報道されているように,議会審査を通じて,「財源総額である「枠」」*5内の密度を高める取組とも整理ができそう.ただし,予算編成に先立つ,議会への意見事前聴取意の機会に,同審査内容次第では,実際の予算編成に先立つ,同県予算編成上の「問題の可視化」*6を図る機会ともなる蓋然性も高そう.興味深い取組.
同審査内容を踏まえた,予算調製において,その内容が「明細性・具体性が高い」もののとなる一方で,執行部側としては「集中性が乏しい」ことになる,いわゆる「調整計画」*7的な予算が編成されることとなるか,又は,「きわめて具体的な「計画」を作成」され,加えて「調整の恣意性が少ない」,いわゆる「計画調整」*8的な予算が編成されることとなるか,今後の同県の予算編成状況は,要経過観察.

*1:宮城県HP(県税・財政・出納・監査http://www.pref.miyagi.jp/menu/380.htm総務部財政課宮城県の予算・議会提出予定議案平成23年度当初予算の編成方針及び要求要領について)「平成23年度当初予算の編成方針

*2:紀内隆宏・編著『実践・予算編成 第二次改訂版』(ぎょうせい,2005年)69頁

実践・予算編成―予算編成のテクノロジー

実践・予算編成―予算編成のテクノロジー

*3:前掲注2・紀内隆宏・編著2005年:69頁

*4:前掲注2・紀内隆宏・編著2005年:70頁

*5:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)195頁

ホーンブック 地方自治

ホーンブック 地方自治

*6:平川秀幸『科学は誰のものか』(NHK出版,2010年)230頁

科学は誰のものか―社会の側から問い直す (生活人新書 328)

科学は誰のものか―社会の側から問い直す (生活人新書 328)

*7:西尾勝行政学の基礎概念』(東京大学出版会,1990年)208頁

行政学の基礎概念

行政学の基礎概念

*8:前掲注7・西尾勝1990年:207頁