京都市は17日、2011年度予算編成で各部局から予算要求があった新規事業の総額45億円、160事業の個別予算額と事業概要を公表した。予算要求段階の公開は初めて。厳しい財政運営が続く中、これまで不透明だった予算編成過程を透明化し、市民に税金の使い道に対する関心を高めてもらうことが狙い。市は今後、事業の優先順位や予算額などを精査し、新規事業枠として確保した30億円以内に抑える。
 市の「未来まちづくり推進プラン」に基づき、新規事業として各部局から130事業、区役所提案は24事業、職員提案は6事業の要求があった。このうち、少子化対策子育て支援児童虐待や障害相談に対応する第2児童福祉センター(仮称)の整備など14事業、「歩いて楽しいまち」実現に向けた施策で四条通の歩道拡幅に向けた設計など7事業、温暖化対策で中小企業の温室効果ガス削減を目指す独自のクレジット制度の構築など7事業が提案された。京都会館再整備や市体育館改修に向けた基本設計、高瀬川の漏水防止の補修工事もあった。
 市は11年度予算編成から予算総額を、「給与費枠」、公共事業に充てる「投資枠」、社会福祉関係経費など「消費等枠」の三つに区分し、それぞれに上限を設けて歳出を抑える手法を導入している。要求事業を20日から市のホームページで公開する。来年2月の予算案公表に向け、新規枠30億円の範囲内で、部局間の調整や市長、副市長らとの協議を経て事業の優先順位などを判断、事業決定する。

本記事では,京都市における予算編成の取組について紹介.2010年1月21日付の本備忘録にて取り上げた,同市における新たな予算編成制度のなかでの,「予算要求段階の公開」の開始.本記事では,「要求事業を20日から市のホームページで公開」をも報道さており,現在のところ確認はできず.残念.公表後,要確認.
「予算を広く一般に公開しなければならない」という「たてまえ」*1に対して,2008年3月10日付同年10月25日付同年11月17日付2009年3月8日付同年3月11日付2010年9月5日付同年11月20日付の各本備忘録でも取り上げたように「透明化」*2へと進まれることで,「住民の視線が直接に入るよう」*3ともなり,「財政部局が,予算編成作業を通じて永年なじみかつ培ってきた漸変主義的(incremental)意思決定ルールと,それに基づく意思〈調整〉技術」*4もまた転換されることになるのだろうか,要経過観察.

*1:松本英昭『地方公共団体の予算』(ぎょうせい,1979年)10頁

*2:大崎映二『歳入減少時代の市町村経営の実践的手法』(学陽書房,2010年)94頁

歳入減少時代の市町村経営の実践的手法

歳入減少時代の市町村経営の実践的手法

*3:金井利之『実践自治行政学』(第一法規,2010年)219頁

*4:小島昭自治体の予算編成』(学陽書房1984年)170頁