佐賀市は今年度、個人市民税の約1%の相当額をNPO法人や市民団体の活動費にあてる「1%支援事業(仮称)」をスタートさせる。どの活動事業を支援したいかについて、市民の意見を聞き、各団体への支給額を決める。市によると、同様の制度を導入している自治体は全国的にまだ少なく、九州では大分市に次いで2番目という。佐賀市は13日に市内で、受給を希望する団体向けの説明会を初めて開く。
 市民は、応援したいNPOや市民団体の事業を選んで投票。その得票数に応じて、市は支援金を交付する。これまでは、補助を受ける団体が固定化されがちで、逆に活動内容の周知が図れず、消滅する団体もあったという。市は、今回の制度導入で、支援を受けられる団体が広がり、行政では行き届かない部分のサービス事業が発展することを期待。一方で、市民の関心が高まり、各団体への参加が増えることも目的としている。
 投票できるのは、市内に住民登録がある20歳以上の市民。昨年度の個人市民税の総額は約100億円で、その約1%(約1億円)を20歳以上の市民数約20万人で割った額は約500円。1票で約500円が団体に支給されると試算している。交付額の上限は1事業あたり30万円で、事業費の2分の1以内に限る。支給する対象は、市内に拠点を置き、社会貢献的な活動をしている団体。法人格の有無は問わない。受給を希望する団体は14日〜5月13日、市民活動推進課に団体概要書や事業計画書を提出する。7月上旬に団体や事業を紹介する冊子を全戸に配布し、フォーラムの開催も検討している。投票は7月中旬〜8月中旬の予定。また、団体向けの応募説明会は、13日の午後2時と同7時に市内のiスクエアビルで開かれる。17、19、21の各日も開催する。問い合わせは同課(0952・40・7078)へ。

本記事では,佐賀市におけるNPO法人等への支援事業の取組を紹介.「佐賀市「1%支援事業(仮称)」」と称される同取組に関しては,同市HPを参照*1
「市民活動団体が行う公益的事業」に対して「市民」が「応援したいと思う事業を選んで投票し,その投票に応じて団体に支援金が交付される」*2同取組.
「事業全体」の「流れ」*3は,次の通り.まずは,「①事業の公募」として「4月14日〜5月13日」の期間に,その「構成員が5名以上」で「市内に活動の拠点を置き,主として市内において活動をして」おり,「申請の提出時」に「概ね1年以上継続的な活動の実績」を行い同「市が刊行している市民活動団体ガイドブックに既に登録」又は「登録予定」であること等の要件を満たす団体のうち,「支援金の交付希望団体」が「事業計画を提出」を行う.その際に「交付申請ができる事業」は,「自ら企画する公益的事業」であり.「1団体1事業」とされている.「交付申請ができる支援金の額」は「申請事業に係る対象経費の2分の1に相当する額以内の額」で「最高30万円まで」*4となる.
次いで,「②審査」が「5月下旬〜6月中旬」が行われ,「③対象事業の決定」される.この「支援対象団体」の審査・決定に際しては,「学識経験者,民間企業経験者,市民活動経験者.行政職員等」から構成される「佐賀市市民活動応援制度審査会」*5が設定され,行われる.「要件を満たしていると判断された団体の事業内容等」の「公開」を「6月下旬〜」から開始する.同取組では,対象事業として公開される事業のうち,不交付という「市民の選択」(つまり,投票しないという意思表示)を反映されることは想定されているかは判然とはしないものの,いずれにせよ,同審査会による「決定アジェンダ*6として,対象事業を決定されることの重みは窺えそう.
その後は,本記事でも紹介されているように,「7月中旬〜8月中旬」の期間で「20歳以上の市民」が「自分が支援したい団体(事業)を1団体(事業)選択」することとなる「④市民による選択・投票」が行われ,「8月下旬」に「対象団体を選択した市民の人数」,「団体に対する支援金交付予定額」等といった「⑤投票結果の公表」される.そして,「9月上旬」迄に「⑥事業内容変更受付」,「9月下旬」迄に「⑦支援金額決定」となる.この「交付決定後」には「支援金額の8割以内の額」を「交付請求」ができる.対象団体へは「H24年3月末」迄に,「⑧実績報告書提出」を求め,「⑨事業の確認」が行われ,「「実績報告書の審査後、支援金の残額」を「交付」される.なお,「6月下旬」での「対象事業の決定」からは,各団体は「事業実施」することになり,「この時点からの経費」が「支援金交付の対象」*7とされている.
「各団体への支援金」は市民の選択結果に応じて決定」されるという,いわば「決定主義」*8に根差して設計された同取組.「NPO・市民団体との関与が多い市区町村ほど行政の透明度及びサービス水準が高い」*9との分析結果もあるなかで,「市民の選択」に際しては,公開される事業,そして,交付すべきサービスとしての透明度に依拠されることも想定されなくもないものの,どのような規準に基づき,選択される「市民」の方は選択されるのだろうか.判断規準も把握できると,興味深い.

*1:佐賀市HP(くらし・環境:まちづくりボランティア・NPO)「市民の投票により、市民活動を応援する制度を始めます!」.事業の後ろに付記されております,「(仮称)」の名称も継続的に利用されるのでしょうか

*2:前掲注1・佐賀市(市民の投票により、市民活動を応援する制度を始めます!)

*3:佐賀市HP(くらし・環境:まちづくりボランティア・NPO市民の投票により、市民活動を応援する制度を始めます!)「平成23年度 市民活動応援制度 佐賀市「1%支援事業(仮称)」公募要項

*4:前掲注3・佐賀市平成23年度 市民活動応援制度 佐賀市「1%支援事業(仮称)」公募要項)2頁

*5:前掲注3・佐賀市平成23年度 市民活動応援制度 佐賀市「1%支援事業(仮称)」公募要項)2頁

*6:John W. Kingdon(2002)Agendas, Alternatives, and Public Policies,Longman Pub Group,4.

*7:前掲注3・佐賀市平成23年度 市民活動応援制度 佐賀市「1%支援事業(仮称)」公募要項)1頁

*8:G.マヨーネ『政策過程の視座』(三嶺書房,1998年)14頁

政策過程論の視座―政策分析と議論

政策過程論の視座―政策分析と議論

*9:伊藤修一郎・辻中豊「市区町村におけるガバナンスの現況」『レヴァイアサン』45号,2009年秋,83頁

レヴァイアサン 45号

レヴァイアサン 45号