減少に歯止めがかからない消防団員の新規獲得策として、横浜市消防局は本年度から、神奈川中央ヤクルト販売と郵便局会社南関東支社、郵便事業会社南関東支社の三社に消防団への登録を持ち掛け始めた。
 消防団員の募集はこれまで、自主的な登録に任されていた。しかし、地域のつながりが弱まり、市外通勤者の増加で昼間人口が減ったため、団員の減少傾向が進み、全国的な課題となっていた。市内の団員は、本年度は七千三百二十三人で、十年前に比べて千人以上減少。高齢化も深刻化している。
 一方、東日本大震災発生時に消防団員は、帰宅困難者の誘導や食料の提供などを担っており、重要性が再認識されている。このため、地域に根差して活動しているヤクルトの配達員と郵便局員に働き掛けることにした。特定の会社に直接呼び掛けるのは珍しいという。今後は新聞配達員や大学生、農協職員らにも呼び掛ける。市消防局は「今回のような大災害が、また起こるかもしれない。早めに備えておきたい」としている。 (志村彰太)

本記事では,横浜市における消防団員の登録の取組を紹介.
2009年5月24日付の本備忘録でも記録した「非常勤」の「特別職地方公務員」(地公法第3条第3項5号)となる「消防団」.同市では,「年額報酬」が「13,000円」,「出動報酬」が「火災などの災害活動に従事したとき」「1回毎に3,400円」,「消防訓練及び市民に対する防災指導に従事したとき」は「1回毎に2,400円」*1が支給される.一方で,「団員の高齢化と団員数の減少」や「消防団員になろうという若者が減少」*2が指摘されてきた消防団.従来も,「消防団活動に協力している事業所に対し,表示証を交付して,協力事業所が地域への社会貢献を果たしていることを社会的に評価する制度」である「消防団協力事業所表示制度」*3を実施されていたようではあるものの,本記事を拝読させて頂くと,同市では,市内の三企業にも登録を「直接呼びかけ」られたとのこと.規制実施における「よく知っている相手には,厳しくできない」*4ことに倣えば,やはり「よく知っている相手であれば,断りにくい(お願いしやすい)」のだろか.今後の登録状況も要観察.

*1:横浜市HP(組織消防局横浜市消防団)「消防団員募集

*2:永田尚三『消防の広域再編の研究』(武蔵野大学出版会,2009年)27頁

*3:前掲注1・横浜市消防団員募集)

*4:嶋田暁文「執行過程の様相」大橋洋一編著『政策実施』(ミネルヴァ書房,2010年)224頁

政策実施 (BASIC公共政策学)

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