さいたま市は11日、市誕生10周年を契機に、市に愛着と誇りを持てるような都市イメージのキャッチフレーズを公募すると発表した。最優秀作品に賞金10万円を贈る。市の内外を問わず誰でも応募でき、市は「キャッチフレーズを考えてもらうことで、市民には市を見つめ直す機会に、市外の人には市を知ってもらうきっかけにしてほしい」と狙いを説明している。
 募集するのは市の魅力や将来の都市イメージを表現した短い言葉。最優秀作品(1点)に賞金10万円、優秀作品(4点)に賞金2万円、それぞれ副賞として市の物産詰め合わせを贈呈する。作品の選考基準は(1)地域に偏らず、市全体をイメージ(2)長く10年以上使える(3)シンプルで印象に残る−の3点。キャッチフレーズの必要性については、(1)合併により都市イメージが形成されにくい(2)市民が感じる市の魅力のトップが「日常生活や交通利便性」で特徴がない(3)首都圏でのさいたま市のイメージも「特に何も思い浮かばない」がトップ(4)政策的な魅力づくりが不可欠−などの課題を挙げ、都市イメージ戦略の足掛かりにする考えを示した。
 市は相川宗一前市長の時代に、福祉計画の基本方針として「子育てするならさいたま市」というスローガンを作ったが、市のキャッチフレーズはなかった。県内の自治体キャッチフレーズは県の「彩の国 埼玉」をはじめとして「きらり川口 ゆめわ〜く」「スマイルシティ・川越」などがある。政令市では「花の都・ちば」「潤水都市さがみはら」など。市は「作るときだけ一生懸命になりがちだが、作った後にこそ市民に愛されるよう、長くあらゆる機会に使っていきたい」としている。応募期間は20日から9月5日まで(当日消印有効)。郵送かファクス、市公式ホームページからも応募できる。市民投票を経て、有識者などからなる検討委員会で最優秀作品を決定、11月1日に発表する。応募方法の問い合わせは市広報課(048・829・1039)へ。

本記事では,さいたま市におけるキャッチフレーズ募集の取組を紹介.同取組に関しては,同市HPを参照*1
同市では,2011年3月に策定された「さいたま市PRマスタープラン」に基づ」く「都市イメージ戦略を進める」に際して「合併により都市イメージが形成されにくい」こと,「都市イメージの形成を意図した情報発信が必要」であること, 「市民が感じる市の魅力のトップは「日常生活や交通上の利便性」 」にあること,「首都圏におけるさいたま市のイメージのトップは「特に何も思い浮かばない」 (32.8%)」であること, そこで「政策的な魅力づくりが不可欠」であるとの課題を整理.そこで,キャッチフレーズを定め,「市の都市イメージを形成と都市としての存在感のさらなる高まり」*2を期待.具体的には,本記事にて紹介されたように,「さいたま市誕生10周年を契機」に「123万人を超える市民」が同「市に愛着と誇りを持てるよう」な「都市イメージキャッチフレーズ」を募集を開始.「応募期間」は「8月20日(土)から9月5日(月)」の間となり,「応募資格」は「どなたでも」「応募」*3が可能とされている.
上記の通り,「イメージのトップ」が「特に何も思い浮かばない」と,イメージがないことがそのイメージ,との意識調査結果がある同市.「従来,埼玉県は「ださいたま」*4とも称されたなかで,「県の愛称」を「彩(さい)の国」に決定されたのは「1992年11月14日」*5.確かに,独自のキャッチフレーズを創設することも肝要.ただ,漫然といくつものキャッチフレーズを提供するよりも,市と県が一致した「シナジーを確実に作り出していくという考え方」*6を採用し,「色々な角度から見」*7てみると,約20年を用いられている「彩の国」の愛称にあやかることもまた,現実的とも思わなくもない.例えば,「多彩(たさい)・さいたま」なども,語呂にユーモアもありその候補の一つかなあ.

*1:さいたま市HP(市についてさいたま市の広報記者への情報提供レクチャー資料レクチャー資料(23年度)さいたま市のキャッチフレーズを募集します)「さいたま市のキャッチフレーズを募集します!

*2:前掲注1・さいたま市さいたま市のキャッチフレーズを募集します!)2頁

*3:前掲注1・さいたま市さいたま市のキャッチフレーズを募集します!)1頁

*4:大森彌「知事と外部助言者」『年報行政研究41 橋本行革の検証』(ぎょうせい,2006年)93頁

橋本行革の検証 (年報行政研究)

橋本行革の検証 (年報行政研究)

*5:前掲注4・大森彌2006年:103頁(関連年表)

*6:沼上幹『経営戦略の思考法』(日本経済新聞社,2009年)286頁

経営戦略の思考法

経営戦略の思考法

*7:土屋賢二『幸・不幸の分かれ道』(東京書籍,2011年)188頁

幸・不幸の分かれ道 考え違いとユーモア

幸・不幸の分かれ道 考え違いとユーモア