福岡県大木町は1日から、家庭内で出る紙おむつのリサイクル回収を始めた。病院や介護施設など事業所での例はあるが、自治体が紙おむつの分別回収に取り組むのは全国初。紙おむつの排出量は、高齢化社会の進展に伴い増える見込みで、県リサイクル総合研究センター(北九州市)は同町の取り組みを基に、他自治体などでの分別回収に生かしたい意向だ。
 08年度から、同センターや、紙オムツの再資源化に取り組むトータルケア・システム(福岡市)などと共同研究を重ねてきた。大木町は08年に循環型社会を目指す「もったいない宣言(ゼロウエスト宣言)」を採択。06年度から生ゴミの分別収集を始め、焼却ゴミを約4割削減した。残る焼却ゴミの組成調査をしたところ、紙・布類4割▽プラスチック類2割▽紙おむつ1割−−などだった。プラスチック類については10年度から再資源化しており、次の課題として、紙おむつに目をつけた。
 紙おむつメーカー5社の協力を得て町が町内51カ所に回収ボックスを設置。各家庭はできるだけ便を取り除いたうえで指定袋(15リットル用10枚150円)に入れて出す。紙おむつ、パット、お尻ふき(ウエットティッシュ)以外のビニール袋やペット用おむつ、ゴム手袋などは回収できない。紙おむつは良質なパルプが使われており、週1、2回の回収後、トータルケア・システムの大牟田工場で建築資材となる再生パルプにリサイクルする。
 同町で家庭から出される紙おむつは年間約117トンで、当面は42%の回収を見込み、最終的には90%程度を目指す。リサイクルでは焼却に比べ、二酸化炭素の排出量を約4割削減できるという。センターの試算では、紙おむつの排出量は、病院や介護施設などからが約3・5割で、残りは家庭から出ていることから、今後、自治体での分別回収が課題になると分析している。同町環境課は「資源循環の町づくりを目指しており、これもその一環。多くの町民に参加してもらい、次の世代のためにも資源の有効活用を呼びかけていきたい」。同センターは「高齢化社会を見据え、新たなリサイクルのシステムを作りたい。これはその第一歩。今後は、事業者に分別回収を広げ、将来的には他自治体にも波及させていきたい」と話している。【上村里花】

本記事では,大木町において,紙おむつのリサイクル回収の取組を開始されたことを紹介.2011年6月23日付の本備忘録にて,「廃棄物の処理及び再利用の促進に関する条例」の制定を記録した同町.同取組に関しては,同町が発行されている『広報おおき』9月号を参照*1
「焼却ごみの11%」 を「紙おむつが占め」「賦存量は町内で年間100tを超えると推定」されるなか,「これまで焼却」されていた「家庭系使用済み紙おむつ」を,「良質なパルプを取り出し,建築資材に利用する」取組を開始.具体的には,「家庭から「紙おむつ」を出す」場合,まずは「15L袋」で「10枚」入りの「紙おむつ専用指定袋」を「150円」で購入.次いで,「行政区に1箇所程度」設置された「回収ボックス」へ出す.その後,「週1〜2回紙おむつを回収」し「リサイクル工場へ搬送」,「工場で破砕後,水溶化分離処理により再生パルプを取り出し,製品化」*2し販売されることとなる.なるほど,興味深い.
回収時には,「定袋の口はしっかり結んで出す」こと,「紙おむつ以外のものは入れない」こと,「大便は取り除き,トイレで処理」することも求められている.指定袋の購入,大便の取り除き,回収ボックスへの回収という3つの作業を経ることでの,「行動変容」*3にも至ることも想定されているのだろうか.現在約1割を占める「紙おむつ」の今後の賦存量の推移は,要経過観察.

*1:大木町HP(広報おおき「あなたの声を大切にします」広報おおき(バックナンバー)広報おおき 9月号)『広報おおき』No.366,2011年9月号,2〜3頁

*2:前傾注1・大木町(広報おおき2011年9月号)2〜3頁

*3:肥沼位昌著・出石稔監修『あのごみ屋敷をどうにかしてと言われたら』(第一法規,2009年)14頁

あのごみ屋敷をどうにかしてと言われたら (自治体職員のための政策法務入門 5 環境課の巻)

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