広島県は29日、重点分野の事業の効果や成果を外部有識者たちが検証する「事業レビュー」を広島市中区自治会館で開いた。大学教授や市町職員、公募で選ばれた県民委員たち計17人が2班に分かれ、事業の目標設定の在り方や改善策を議論した。
 対象事業は、四つの重点分野から県民生活に関わりが深い計73事業(予算総額72億2千万円)を県が選んだ。内訳は人づくり11事業▽観光振興22事業▽子育て支援20事業▽環境保全20事業。観光振興では、2012年に観光客数を7千万人にする目標に「(10年が5577万人で)達成は難しい。適切に見直すべきだ」との指摘があった。
 子育て支援では、企業や小売店が親子連れを優待する県の「子育て応援イクちゃんサービス」について「参加店舗を増やすだけではなく、親子連れへのサービスの質の向上を」との注文があった。県は09、10年度に「事業仕分け」を実施。本年度は議論を通じた評価、点検に力点を置くとして事業レビューに切り替え、事業ごとに「不要」「要改善」などと判定しなかった。県は意見を踏まえ、来年度の当初予算の編成作業を進める。

本記事では,広島県における外部評価の取組を紹介.
同県では,「事業レビュー」との名称のもとで,「「ひろしま未来チャレンジビジョン」に掲げる施策」の「推進」を図る上での「施策マネジメントの一環」*1として実施.本記事を拝読させて頂くと,同「県」では「09,10年度に「事業仕分け」を実施」されていたものの,2011年10月18日に開催された同県知事記者会見によると,「今回の事業レビューというのは事業をある程度かためて,塊をもってある政策目標を達成しようとしていますから,全体は効率的・効果的に実施されているかということを検討するというもの」*2とされている.いわば,事業仕分けでは個別事業レベルへの評価となり,部分最適としての判断に至る蓋然性も低くないと判断され,「事業レビュー」という名称の施策レベルでの(外部)評価により,個別事業実施の全体最適化を図ることを企図されたものとも解せそう.
「事業レビュー」では,具体的には「コーディネーター」が「1名」,「施策関係有識者等」が「4〜5名」,「公募県民委員」が「2名」が1班を構成し,2班を設置.各班で「県職員から施策の内容について説明した後に,同「県職員を含めた委員全員で議論を通じた点検」を「1施策あたり2時間30分程度」で実施.本記事にも紹介されているように,「多数決による「不要」や「要改善」などの判定は行」*3わない,という.多くの時間を設けて,「県職員」という当事者も含めて「議論」「点検」することにも特徴がありそう.以上の取組を通じて至った同レビューの結果は「速報」*4としても公表.成果指標の妥当性,構成事業の改善方向を中心にまとめられている.「劇場型」*5とも評されたこともある「事業仕分け」.同県の取組からは,外部評価もまた,劇場型な要素である「公開性」を残しつつも,内容としては実務型に移行しつつ,なるほど,まさに「行政評価制度は,常に変態する」*6された取組として興味深そう.