午後から,2011年10月26日付の朝日新聞にて紹介されました「サイエンス寺子屋」へ参加してみました.やや小雨もポツリポツリと降り始めたなかで,時間の感覚を忘れそうなくらいの歴史あるお寺の本堂のなかに座り,「特別なチンパンジー」である人間の「心の進化」についての1時間ほどの講義を受けました.
類人猿社会の特性と社会的知性,助け合いの実験とその含意,人の生活史から見た場合の特徴(長寿化,繁殖開始年齢の遅延,長い子ども期と若者期,女性の閉経等)に関する研究の成果とこれに基づく深い考察は,いずれも興味が惹かれるテーマでした,個人的には,「ヒトに固有」とされる「おばあさん」の存在を解明されようとして提示されている,「繁殖の仕事から解放され,様々な知識を備えた「おばあさん」が,娘および親族の若い世代の繁殖を助けることで,子孫の数が増加したのではないか」という仮説(「おばあさん仮説」と呼ばれているようです)と,その解釈を大変面白く伺いました(あわせて,少子化の一方で「おばあさん」が増加する現況をどのように考えるとよいのだろうかなども考え込んでしまいましたが).
科学技術インタープリター養成プログラム」の取組の一環のよう.科学技術という余り接し易くないテーマかと思いましたが,講義テーマへの関心からでしょうか,幅の広い年代と多くの方が参加されており,更には,講義後の質問も多彩で大変驚きました.質疑応答を通じて,参加者が,一般的に流布されていることで何となく持っている「科学」的な知識(情報)が,現在までの研究により,緩やかに方向修正されている過程は,「サイエンス寺小屋」という取組のまさに主たる趣旨にあるのかなあとも思いつつ,大変深く伺いました.下名の観察対象である,行政情報(研究)に関しても,「何をどう伝えるか」を考え,行う,「インタープリター」の存在の必要性も感じる機会ともなりました.