堺市は16日、市内7区の一つ、美原区の区長を全国公募すると発表した。政令市になった06年4月から3年間、南区で地元公募の女性区長を起用したが、全国公募は初めて。都市計画の進展が見込まれる美原区に民間の視点を取り入れることが目的で、竹山修身市長は「行政の枠にとらわれない発想を求めたい」と話している。市によると、区長を公募している政令市は堺だけ。
 応募資格は1949年4月2日〜90年4月1日生まれで、日本国籍を有すること。任用は来年4月から1年間だが、実績などを見て最長3年まで更新する。来月1〜28日に応募を受け付け、来年1月に書類などの1次選考とプレゼンテーション審査、2月中旬に面接による最終選考がある。問い合わせは堺市人事課(072・228・7907)。【内田幸一】

本記事では,堺市における区長職公募の取組を紹介.
2009年3月5日付の本備忘録にて記録したように,当時,モデル的に実施されていた同職公募の取組を停止された同市.今回は「全国公募」として,再び開始される模様.同取組に関しては,同市HPを参照*1
公募は,全区を対象とはせず今回も一区に限定されており,「美原区」の同職.同市では区長は「局長級」となる.その業務は,「一般事務」を担当とも記載されているものの,具体的には「美原の特色が活きるまちづくり」,「地域,区民との連携・協力による区政の推進」,「美原区役所職員の指揮監督」,「市長と区民をつなぐ市長調整監業務」*2がその職務とある.
なお,記載されている職務のうち4つめの「市長調整監業務」とは,2011年2月17日付の本備忘録にて記録した「区役所機能拡充」の取組の一環として配置された職であり,同市の同市の堺市事務分掌規則第3条第8項に基づく職.同規定では,「区行政に係る調整並びに特命事項に係る企画及び調整の事務を掌理」*3と規定されている.同職に関して事務委任により,「区行政に係る調整」「特命事項に係る企画及び調整」という事務を分掌されるのではなく,改めて別の職とし,同職に業務を分掌されることの目的とその運用実際は,下名個人としてはまさに観察関心の対象.興味深い.
「応募資格」は「昭和24年4月2日から平成2年4月1日までに生まれた人」で「日本国籍を有する人」」*4の2点.2012年での就任となるため,満22歳から63歳と幅広くその採用機会を提供.同規定からは,前職・現職に関する規定は置かれていないため,(勿論,実際の有無は別としても)現在の同市職員の方々による募集も決して排するものではないとも解される.立ち枯れることなく,挿し木として復権するかのような実際上の職階制的な制度運用にもなりえそうか.「給料月額」は「地域手当を含」み「514,000円程度」と「期末・勤勉手当」が「3.95か月分」*5となる.ただし,同職は,「任期付職員」として「平成24年4月1日〜平成25年3月31日」がその「任用期間」となる.「勤務実績等」では「1年ごとに任期を更新」も認められ,「採用日から最長3年間の任用を可能」」*6という.
「応募期間」は「平成23年12月1日(木〜28日(水)」の28日間.「選考方法」は「1月上旬頃」*7に「書類審査及び論文審査」を行う「第一次選考」を,次いで「プレゼンテーション審査」を行う「第二次選考」は,日程が確定されており,「1月29日(日)(予定)」*8に実施,「最終選考」である「個別面接」」*9を「2月中旬頃」*10に行う予定.「最終選考合否発表」は「2月下旬頃」に行われ,「3月」には「事前研修」と「事務引継ぎ」,そして,「4月1日(日)」の「採用」*11となる.
「区民の圧倒的多数は自らの区長の名前すら知らない」*12とも解されることもある同職.「区長の人事異動といっても,市全体の人事異動のなかで行われるものであり,区長職に特別の人事異動が行われるわけではない」*13こともその背景の一つとも考えられなくはない.「区レベルでの正当性の欠如」の「解消」*14は,同職公募の取組では,確かに「正当性の欠如」の「解消」は困難ではあるものの,「特別の人事」である今回の取組を通じて,区長名の周知には,極めて効果的とも考えられそう.2008年12月28日付以来の断続的観察課題である自治体人事管理における「半開き(semi-open system)化」仮説の観察の関心からも,今後の募集及び選考状況は,要経過観察.

*1:堺市HP「新着情報トピックス一覧

*2:堺市HP(広報部報道提供資料平成23年11月)「〜 都市内分権の推進に向け 〜 美原区長を公募

*3:堺市HP(条例・規則・規程など堺市例規集 )「堺市事務分掌規則」(昭和47年4月1日,規則第14号)

*4:前掲注2・堺市(〜 都市内分権の推進に向け 〜 美原区長を公募)1頁

*5:前掲注2・堺市(〜 都市内分権の推進に向け 〜 美原区長を公募)2頁

*6:前掲注2・堺市(〜 都市内分権の推進に向け 〜 美原区長を公募)1頁

*7:前掲注2・堺市(〜 都市内分権の推進に向け 〜 美原区長を公募)3頁

*8:前掲注2・堺市(〜 都市内分権の推進に向け 〜 美原区長を公募)3頁

*9:前掲注2・堺市(〜 都市内分権の推進に向け 〜 美原区長を公募)2頁

*10:前掲注2・堺市(〜 都市内分権の推進に向け 〜 美原区長を公募)3頁

*11:前掲注2・堺市(〜 都市内分権の推進に向け 〜 美原区長を公募)3頁

*12:橋下徹堺屋太一『体制維新』(文藝春秋,2011年)181頁

体制維新――大阪都 (文春新書)

体制維新――大阪都 (文春新書)

*13:沼尾史久『大都市における区政と区長』(東京市政調査会会,1996年)126頁

*14:金井利之「「大阪都構想」とは何か」『世界』No.824 ,2011年12月号,120頁

世界 2011年 12月号 [雑誌]

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