横浜市は27日、市が実現を目指す大都市制度のあり方についてまとめた「横浜特別自治市大綱」を発表した。今後は特別自治市制度創設に向け、林文子市長が臨時委員を務める国の地方制度調査会が8月にまとめる答申に大綱の内容が反映されるよう、国や政党に働きかけていくという。
市は、県と政令市の二重行政や、県に代わって市が実施する行政サービスの財源が税制上は確保されていないなどの課題、少子高齢化の進行などの背景を踏まえ、政令市が道府県から事実上独立する特別自治市の制度化を国などに求めている。昨年6月に大綱の骨子案をまとめ、市議会などで議論してきた。
大綱では、県が市域内で担っている事務の全てを特別自治市としての市が処理し、地方税の県税部分も県に代わって賦課徴収するとした。また、県や近接市町村との連携協力関係を強化する。「大阪都構想」を実現可能とする新法が昨年成立し、政令市などは東京23区のように区長や区議を選挙で選ぶ特別区を設けることが可能になった。だが大綱では、市と区の二層構造は現在のままとし特別区の設置は目指さないとした上で、市議が区民の代表として区政にかかわる制度や、市民が区政に参加できる機会を設ける必要があるとした。大綱は市ホームページに掲載。市民に理解してもらうためのリーフレットを今後用意するほか、フォーラムなど意見を聞く機会も設けていくという。【山田麻未】
本記事では,横浜市における「横浜特別自治市大綱」の公表に関して紹介.
2012年6月23日付の本備忘録では,同大綱の「素案(骨子)」公表を記録.同市では,2013年3月27日付で同大綱を公表.同大綱に関しては,同市HPを参照*1.
主な内容は,4項目.まずは「原則として、現在県が横浜市域において実施している事務及び横浜市が担っている事務の全部を処理」すること.二つめは「市域内地方税の全てを賦課徴収する」*2こと,三つめは「協議会の設置,一部事務組合の設置,特別自治市と県との法律による協議会の設置など」により,「神奈川県及び近接市町村等との水平的・対等な連携協力関係を維持・強化」*3すること,四つめは「区」に関して,「自治体としての性格を備えていない」*4制度を想定し,「区長は公選とせず」に,ただし「適正な区政が行われ,住民の意見を行政に反映させることができるような仕組みを構築することが重要」*5するともある.
ただし,一つめの権限に関しては「全部」とはあるものの,「警察事務」は,第30次地方制度調査会専門小委員会中間意見の11頁で「例えば警察事務についても特別市の区域とそれ以外の区域に分割することとなるが,その場合,組織犯罪等の広域犯罪への対応に懸念がある」*6との記述を受けて,同大綱でも「警察事務の扱いについては,引き続き検討」*7とされている.
今後,同市では「市民,県,県内市町村,経済団体等との意見交換」や「二重行政の解消に向けた県との協議を進める」とともに「平成25年8月に予定されている第30次地方制度調査会の答申を踏まえ」たうえで「特別自治市制度の詳細検討をさらに進め」「引き続き国等に働きかけを行う」ともある.第30次地方制度調査会の答申が,先の専門小委員会中間報告よりもどこまで詳細な提案となるか次第ということだろうか.第30次地方制度調査会の審議内容も,要経過観察.