「国と地方の協議の場」の社会保障・税一体改革分科会が8日、首相官邸で開かれた。一体改革に伴う消費税増税分の地方配分をめぐり、厚生労働省が考え方を提示。保育所の職員増員など自治体が独自に行う医療・福祉事業の多くを税収配分の対象としてふさわしくないと分析しており、地方側から反論が相次いだ。
 分科会には、全国知事会など地方6団体の代表や藤村修官房長官川端達夫総務相らが参加。厚労省の考え方に対し地方側は、「国の基準通りでは良い保育ができないので、自治体が独自に職員を採用している。地方の実態を理解していない」などと述べ、相応の消費税配分を求めた。

本記事では,国と地方の協議の場に設置された「社会保障・税一体改革分科会」の第3回開催に関して紹介.現在のところ,内閣官房HP内の「国と地方の協議の場」*1サイトでは,回分の配布資料等は掲載されておらず,残念.公表後,要確認.
2011年11月17日に開催された第1回の同分科会では,総務省により「平成22年度決算における社会保障関係の地方単独事業」の総額が「6.2兆円」*2であり,その内訳を見ていくと,「総合福祉」が「2,142」億円,「医療」が「26,978」億円,「介護・高齢者福祉」が「7,088」億円,「こども・子育て」が「17,200」億円,「障害者福祉」が「5,833」億円,「就労促進」が「588」億円,「貧困・格差対策」が「2,381」億円*3として算出.同回では,地方六団体側からは「地方が社会保障において果たしている大きな役割」にあるとして「地方単独事業を含めて社会保障サービスを持続的に提供できるよう,偏在性の小さい地方消費税の充実など安定的な財源確保を図ること」*4が求められている.
方や,本記事で紹介されている第3回の同分科会では,本記事を拝読させて頂くと,厚生労働省側から「自治体が独自に行う医療・福祉事業の多くを税収配分の対象としてふさわしくないと分析」された結果が示された模様.また,2011年12月8日付の朝日新聞では,「厚生労働省財務省が試算」し,「出産祝い金などを「社会保障に属さない」,保健所や団体への補助金などを「社会保障給付にあたらない,老人クラブ活動費やホームレスの自立支援などを「消費税でまかなうとされる年金,医療,介護,子育ての4分野にあたらない」と分類して対象外」とされた結果,「400億円」*5であることを算出したとも報道されている.上記の内訳の区分のうち,何れの額にも及ばない額ともなる.
「役所の「福祉」のしごとは,あくまでも「お金」との関わり」*6であるものの,予算編成とは異なり,決して「攻守交代」*7されることはなく,協議という名の攻め合いが進められるのだろうか.同回の配布資料は,要確認.

*1:内閣官房HP(政策課題)「国と地方の協議の場

*2:内閣官房HP(政策課題国と地方の協議の場社会保障・税一体改革分科会(平成23年11月17日(木))「資料2 地方単独事業に関する調査結果について」1頁,2頁

*3:前傾注1・内閣官房(資料2 地方単独事業に関する調査結果について)2頁

*4:内閣官房HP(政策課題国と地方の協議の場社会保障・税一体改革分科会(平成23年11月17日(木))「資料3 地方単独事業の整理にあたって」1頁

*5:朝日新聞(2011年12月8日付)「国「地方の試算は過大」主張へ 消費増税配分巡り対立

*6:結城康博『福祉という名の「お役所仕事」』(書籍工房早山,2010年)61頁

福祉という名の「お役所しごと」

福祉という名の「お役所しごと」

*7:天川晃・稲継裕昭『自治体と政策』(放送大学教育振興会,2009年)101頁

自治体と政策 (放送大学大学院教材)

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