県立図書館(大分市駄原)は、県民が寄贈したい本と、学校や図書館が所蔵を希望する本をインターネット上で照合できるシステム「みんなの本ネット」を始めた。同館によると、公立図書館が本を寄贈する側とされる側を支援するシステムを構築したのは全国初の試みという。
 本ネットは11月22日に開始。本を寄贈したい人は、同館ホームページを通じて、名前や電話番号、書籍名や本の状態などを登録する。県内の学校と公立図書館約700団体はこれらの情報の閲覧が可能で、希望する本があれば直接連絡を取り合う。学校などが寄贈を希望する本も登録できる。いずれも公開期間は3カ月間。県立図書館は所蔵量の限界が近いこともあり、これまで郷土関連の寄贈以外は断ってきた。しかし「なぜ断るのか」「せっかく持ってきたのに」などの声が上がり、頭を悩ましていた。一方、同館の団体向け貸し出し制度の利用者は、ほとんどが蔵書数が少ない県内の小中学校で、年間貸し出し冊数は約10万冊に上る。そこで「寄贈本をうまくマッチングできないか」と考えたという。同館の小林浩典企画・資料課長は「本の有効活用につなげてほしい」と話している。。

本記事では,大分県立図書館において,寄贈希望図書と所蔵希望図書との間での照合システム導入の取組を紹介.同取組の詳細は,同県立図書館HPを参照*1
「みんなの本ネット」との名称をもつ同取組は,本記事の報道の通り,「学校や図書館に本を寄贈したい県民」と「寄贈本を求めている学校・図書館等が本をやりとりするために必要な情報を公開・閲覧」するもの.「寄贈したい本の情報を登録」し「登録された情報」を「県内の学校・図書館等に公開」,方や「学校・図書館が寄贈を希望している本の情報を閲覧」も可能として,「学校・図書館等と連絡を取」り,「お互いに条件が合えば」「本のやりとりを行」*2うこととなる.なるほど,興味深い.
実際に「みんなの本ネット」*3のウェブサイトに訪れてみると,2011年12月8日現在の「寄贈リクエストの一覧」としては,「大分県立図書館」から「全集」のうちの「第1巻」のみ,大分市内にある県立の高等高校から「大百科全書」の「全25巻」と「補巻」の揃い,玖珠町にある県立の農業高等学校から3冊の単行本の寄贈希望が掲載されている*4.なお,「本の受け渡しにかかる費用等」は,「県立図書館では負担」しない,「寄贈者と学校等で協議の上,負担を定め」*5ることとされる.郵送等の実費以外にも,その運用のなかでは「互酬性」*6も観察されることになるのだろうか.運用状況は,要経過観察.