わかりやすい日本語を普段から使うことで在住外国人の日常生活を支援する「コミュニティ通訳」の研修が、市原市で初めて行われた。市民同士の身近な関わりを通じて、外国人の安心を支えるのが狙いだ。
 研修は、同市人権・国際課が企画。以前、同課職員が市役所窓口にやってきた外国人に、戸籍や子どもの手当などについて説明した際、制度や用語が難しく、伝わりにくいと感じたのがきっかけ。同市には約5000人の外国人が暮らしており、「制度を理解し、わかりやすい言葉を使う必要がある」と研修を発案した。
 研修は今月2日から週1回、計3日間実施。市民43人が参加し、国民健康保険や戸籍、税金、入国管理の仕組みなどについて、市職員らが講義を行った。最終日の16日は、約2万5000人の外国人が暮らす浜松国際交流協会浜松市)の堀永乃さんが「ボランティア論」をテーマに講義。「電車は全線『ふつう』です」といったアナウンスを例に挙げ、複数の意味に受け取れる場合、意味を取り違えない言葉遣いを心がけることが大切と指摘。「外国の人はたまたま市原に来た人がほとんどで、事前の知識はなく、不安も悩みもある。偶然出会った人に『大丈夫』と勇気付けられれば、人生を再生産できる」と訴えた。フィリピン出身で市原在住の畠山フェビーさん(47)は、小学1年〜中学3年の外国人の子ども向けの日本語教室に携わっている。「入管の関係で子どもの心配をしている親は多い。学んだことを役立てたい」と話していた。
 同課は「研修に参加した人たちには、学校や病院、日常の様々な場面で、ぜひ支援に携わってほしい」と話している。研修後、同課は参加者を対象に実施したアンケートを分析し、今後の施策に役立てる方針だ。

本記事では,市原市における「コミュニティ通訳」の研修の取組を紹介.同取組に関しては,同市HPを参照*1
同取組は,「在住外国人市民」の方々が「安心して」同「市で日常生活を営める」ように,「「やさしい日本語」を使」い「入国管理局や市役所等の窓口において役立つ行政サービスの基礎知識」により,「コミュニケーションのお手伝いをすること」が目的.同目的を実現するよう,同市が取り組む同研修では,「国民健康保険,戸籍,子ども関係の諸手当,入国管理関係,税金,やさしい日本語,ボランティア論」を,「12月2日(金曜日),9日(金曜日).16日(金曜日)」の3日間の「13時30分〜16時15分」で受講.本記事では,同研修では「市民43人」が受講されたことをを紹介されている.
「「わかりやすく」することは専門用語空間における精度を失わせる」*2とも解されるものの,とはいえ,わかりにくいことは,生活空間での支障も生じる蓋然性も高い.「やさしい日本語」は,同研修の受講者である市民に留まらず,勿論,職員間でも幅広く用いられるように研修が実施されているのだろうか.要確認.

*1:市原市HP(募集情報一覧)「コミュニティ通訳研修を行います。

*2:藤垣裕子「PUS理論」藤垣裕子・廣野喜幸編『科学コミュニケーション論』(東京大学出版会,2008年)100頁

科学コミュニケーション論

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