電気の購入先を東京電力から、電力自由化で生まれた特定規模電気事業者(PPS)に切り替える動きが、多摩地域自治体で相次いでいる。福島第一原発事故後、市営競輪場などでPPSから電気を購入している立川市の取り組みが全国的に注目されたが、厳しい財政事情の下での経費削減策として、導入が進んでいる。 (加藤益丈)
 小平市は十三日、市の五十八施設を小中学校二十七施設、市役所庁舎など五施設、健康福祉事務センターなど二十六施設の三つに分け、電気の購入先について、それぞれ条件付き一般競争入札を実施。いずれも四業者が参加し、三件とも日立製作所東芝などが出資するイーレックスが落札、契約した。期間は二〇一二年三月一日から一三年三月末まで。東電から購入する場合と比べ、年間で約千三百六十万円の電気代削減になると見込んでいる。同市契約管財課は導入について「他市の状況をみて、問題ないことを確認した」と話す。
 多摩市も今月、市役所庁舎や小中学校二十五校など四十六施設について、NTTファシリティーズや東京ガスなどが出資するエネットから電力を購入する契約を結んだ。期間は小平市と同じ。年間で約八百万円の電気代削減になるという。
 羽村市は一日から、小中学校など十三施設でエネットから電気を購入している。一三年三月末までの期間中に、総額約七百六十万円の削減を見込む。同市総務契約課は「効果を検証し、ほかの施設への拡大も検討する」と意欲的だ。
 多摩地域では他にも、町田市が〇八年度から導入を始め、本年度は年間約六千四百万円の削減を見込む。あきる野市国立市も本年度から導入している。

本記事では,東京都に位置する市における電力供給事業者の契約の見直しの取組を紹介.
資源エネルギー庁による2011年12月26日現在での「一覧」*1の整理結果を拝見させて頂くと,現在,49社となる「特定規模電気事業者」.「一般電気事業者」の「市場シェア」に比べれば,「象とアリの競争」*2の現状にあるとも評されるなかで,本記事を拝読させて頂くと,東京都に位置する市レベルでの,特定規模電気事業者からの電力供給契約の見直しの取組が紹介.
まず,本記事の冒頭で紹介されている立川市に関しては,2011年6月4日付の朝日新聞*3でも報道.具体的には,「立川競輪場」で「2010年度」に「電気の購入先を東京電力から特定規模電気事業者」の変更により,「約6200万円」から「約4500万円」へと「電気代を約27%節約」に至ったことが紹介.本記事中段以降で紹介されている多摩市,羽村市国立市の取組に関しては,各市HPを参照*4 *5 *6
まず,羽村市では,「羽村市立武 蔵野公園,羽村市富士見公園」の「2施設」,「全市立小中学校」の「10校」,「羽村市郷土博物館」の「1施設」の「計13施設」がその対象とされる.次いで,多摩市では「市役所庁舎をはじめコミュニティセンター,健康センター,図書館,及び小中学校など46施設」,最後に,国立市では「国立市役所,くにたち北市民プラザ,くにたち南市民プラザ,国立市保健センター,国立市保健センター(分室),環境センター,国立市南部中継ポンプ場国立市公民館,学校給食センター国立市立小中学校全11校」の「計20施設」と,広範囲の施設での電力供給業者の契約の見直しとなる.なお,「多摩26市」では,「本庁舎を電力自由化するのは国立市が初めて」*7とのこと.なお,本記事で主に紹介されている小平市,そして,市名のみを紹介されている,あきる野市の同取組に関しては,現在のところ,両市HPでは把握できず,残念.公表後,要確認.
これらの対象施設の多寡に比べると,その効果に関しては,その順序が異なってくる.例えば,国立市では,削減率は「2.5%」,その効果額が「約150万円」*8, 多摩市では「年間で約6%,800万円の削減」*9羽村市では「1年4か月間合計で約760万円」「9.9」*10%の削減が想定されている.電力供給に関してもまた,2008年12月7日付の本備忘録にて項目立てを試みた,本備忘録の妄想的・断続的観察課題のひとつである「庁舎管理の行政学」の観点から,電力供給の契約に関しては,日常の庁舎・施設の「維持」に関して,「第1章:建築と維持のポリティクス」としても整理ができそう.どのようにして,地方自治法第1条の3第14項に規定される「最少の経費で最大の効果を挙げる」ことが,各庁舎・施設の維持で具体化されるのか,今後の契約とその効果も,要経過観察.

*1:経済産業省HP(資源エネルギー庁施策情報電力・ガス・熱供給事業政策について電気事業制度改革についてのホームページ我が国の電気事業制度について)「特定規模電気事業者連絡先一覧

*2:高橋洋電力自由化』(日本経済新聞社,2011年)139頁

*3:朝日新聞(2011年6月4日付)「東電やめたら電気代3割節約 立川競輪場、契約先変更で

*4:多摩市HP(契約・入札)「市施設の電気需給契約の見直しについて

*5:羽村市HP(まちの情報情報公開報道機関への情報提供)「羽村市における電力供給契約の見直しについて」(平成23年12月2日,羽村市総務部契約管財課)

*6:国立市HP(市政情報市政の運営情報公開報道発表平成23年度 報道発表)「11月から本庁舎を含む 20 の市有施設で 電力自由化による電力供給がはじまります 」(平成23年10月19日 国立市秘書広報課広報担当)

*7:前傾注6・国立市(11月から本庁舎を含む 20 の市有施設で 電力自由化による電力供給がはじまります)

*8:前傾注6・国立市(11月から本庁舎を含む 20 の市有施設で 電力自由化による電力供給がはじまります)

*9:前傾注4・多摩市(市施設の電気需給契約の見直しについて)

*10:前傾注5・羽村市羽村市における電力供給契約の見直しについて)