福岡市は24日、市内で多発している自転車事故を減らすため、利用者の守るべきマナーや学校での交通安全教育の充実などを盛り込んだ「市自転車の安全利用に関する条例(仮称)」を制定する方針を明らかにした。2月1日に行政関係者や市民、学識経験者など18人で条例検討委員会を設置。今夏ごろ、条例に盛り込む内容を提言にまとめ、2012年度中の制定を目指す。市によると、自転車の安全利用に特化した条例制定は政令市では京都市に続き2番目。九州の自治体では初めてという。
 福岡市によると、11年に発生した自転車が関与する交通事故は3279件で、01年と比べ243件増加。11年の全交通事故(1万2722件)の4分の1を占めた。住宅地と繁華街が近いことなどから、10年は政令市の中でも大阪市名古屋市に続いて3番目に多かった。特に歩行者との事故が急増しており、11年は56件と01年の4倍以上に増加。歩道をわが物顔で走るほか、携帯電話で話したり、イヤホンで音楽を聞いたりしながら運転するなど、利用者のモラル低下も問題となっているため、安全利用対策を強化することにした。検討委は2月から5回程度開催。利用者の責務のほか、自転車販売店によるマナー講習、学校関係者による交通安全教育など、条例に盛り込む取り組み内容を協議する。

本記事では,福岡市において,自転車の安全利用に関する条例の制定方針を紹介.同方針の詳細は,2012年1月24日に開催された同市長記者会見を参照*1
同記者会見での配布資料を拝読させて頂くと,同市では,「市民等,学識経験者,教育関係者,関係団体職員,福岡県警察官,福岡市職員の18名の委員」から構成される「福岡市自転車の安全利用に関する条例検討委員会」を設置.同委員会では,主に,「自転車利用者,小売業者,事業者,学校長など関係者の責務・取組 」,「自転車の安全利用に関する教育,啓発及び指導」,「自転車安全利用推進員の設置」 ,「自転車の点検整備及び自転車損害保険等への加入の促進など」を検討する.今後,「平成24年度中」の「条例制定予定」として,「平成24年2月1日」に「第1回」を開催され,「1〜2カ月に1回,合計5回程度」*2の開催を予定とされている.
同市では,同委員会に先立ち,「福岡市自転車安全利用のあり方検討会」を設置され,2011年3月に提言をまとめられている.同提言を拝読すると,上記の条例設置の必要性が提示.具体的には,「市,自転車利用者,自転車小売業者,学校長及び市民等の役割と責務,地域における自転車安全利用指導員の役割と位置付け,さらには,自転車小売業者による自転車安全利用に係る情報提供や,自転車利用者へのTSマーク付帯保険への加入・促進等を明確化した,「自転車安全利用に関する条例」制定について検討を進める必要がある」と提言.あわせて,同提言では,「道路交通法に罰則規定はあるものの,ルールやマナーが守らない自転車利用者が多く見受けられる現状」を踏まえて「条例制定」に際しては「罰則規定についても検討されたいとの意見」*3があったとも明記されており,法定の罰則規定のもとでもその遵守が困難である現状も認識されている.どのような「行動変容」*4を促す内容をもつ条例の整備に至るのか,要経過観察.

*1:福岡市HP(市長のオフィス市長会見資料)「市長会見平成24年1月24日

*2:福岡市HP(市長のオフィス市長会見資料市長会見平成24年1月24日)「「福岡市自転車の安全利用に関する条例検討委員会」の設置について 」(平成24年1月24日,市長会見)1頁

*3:福岡市HP(くらし・手続き・環境防犯・モラルマナー・交通安全交通安全:福岡市自転車安全利用のあり方に関する提言)「福岡市自転車安全利用のあり方に関する提言」(福岡市自転車安全利用のあり方検討会,平成23年3月)9頁

*4:肥沼位昌著・出石稔監修『あのごみ屋敷をどうにかしてと言われたら』(第一法規,2009年)14頁

あのごみ屋敷をどうにかしてと言われたら (自治体職員のための政策法務入門 5 環境課の巻)

あのごみ屋敷をどうにかしてと言われたら (自治体職員のための政策法務入門 5 環境課の巻)