市は各課ごとの残業(超過勤務)時間数の格差を減らそうと、策定中の第6次行財政改革実施計画の中に事務や人員配置の見直しを進める施策を盛り込む。平成22年度データでみると、残業時間は1人当たりの平均が、多い課と少ない課でなんと年間で百数十時間の差にもなっており、24年度からまずは職員への聞き取り調査などで実態把握に努める。
 市の総残業時間は22年度で1万2836時間。 職員1人当たりの平均は年間で66・5時間、 1カ月で5・5時間、 1日で11分。 このように平均をみれば他の県内市部と比べて残業時間数が多いとはいえず、 また、 残業手当も年間で総額2000万円から3000万円で中間ぐらいとなっている。 かねて柏木征夫市長が 「仕事は通常勤務内に終わらせて、 あとは趣味や地域のための時間に費やしてほしい」 と呼びかけている成果ともいえる。しかし、 総務課人事係によると、 各課ごとの残業時間に大きな偏りが出ているという。 慢性的に残業時間が多いのは健康福祉課で、 22年度は総残業時間が3061時間で、 職員1人当たりの平均は127時間。 県からの権限委譲で事務量が年々増加している上に、 新型インフルエンザの流行などで不意な業務が増えたり、 介護保険など国の制度見直しへの対応にたびたび追われたりするのが要因。 各種手当や健康推進で市民対応の窓口業務もあり、 日中に予定していた事務を残業でこなさなければならない状況になっている。 社会福祉課も子ども手当など国の制度への対応に追われ、 残業時間が多い傾向にある。 このほか、 企画課も22年度は年間1383時間、 1人当たり平均でみれば153時間でトップの残業時間数だが、 5年に1度の国勢調査の業務などに追われたためで、 慢性的に残業が多いというわけではない。
 逆に残業時間が最も少なかったのは下水道課で年間60時間、 1人当たり平均6時間、 土地開発公社が年間12時間で1人当たり平均6時間。 しかし、 これもあくまで22年度のデータで、 各種事業の推進によって年度が違えば残業が増える場合もある。 総務課人事係は 「いずれにしても毎年残業が多いのは福祉関係の職場。 ただ、 業務上の役割分担で一概に人員を増やしたところで、 その個人の残業時間数が減るのかどうかという問題もある」 と難しい面を強調しながらも、 「行財政改革実施計画に基づきまずは残業が多い職員に対して聞き取りを行って改善策を探っていきたい」 と話している。

本記事では,御坊市における超過勤務時間管理の現状を紹介.同市が現在パブリックコメントを実施されている「第6次行財政改革大綱」*1に基づく実施計画において,「事務や人員配置の見直し」に関する記載のため,超過勤務時間の現状を把握された模様(実際のデータを是非とも見てみたいですね).
本記事からは,同市の超過勤務時間は,2010年度が「1万2836時間」「 職員1人当たりの平均は年間で66.5時間,1カ月で5.5時間,1日で11分」であったことが分かる.ただ,その残業時間は「各課ごとの残業時間に大きな偏り」があることも紹介.最も多い課が「健康福祉課」であり,同年度では「総残業時間が3061時間」,「職員1人当たりの平均は127時間」であり,加えて,同課は「慢性的に残業時間が多い」現状にある,という.その要因は,県から権限移譲,「国の制度見直し」,「新型インフルエンザの流行など」の「不意な業務」という,定型,非定型に関わらず,他律的な事項への対応がその要因とも分析されている.
上記の大綱案では,「市民本位の行政サービスを行えるよう,引き続き職員の意識改革」*2の必要性も述べる.超過勤務時間の増加に対して,まずは「時間制約」の「意識化」*3を図ることで,その効果の高さがあるとの指摘がなされるものの,他律的な事項がその要因となると,「仕事のやり方を「変え」,チームを「変え」,管理職を含めて社員全体の生活を「変え」」*4,そして,定時に「帰る」ことは難しいのだろうか.悩ましい.

*1:御坊市HP(組織案内総務課)「第6次行財政改革パブリックコメントの実施について

*2:御坊市HP(組織案内総務課第6次行財政改革パブリックコメントの実施について)「御坊市行財政改革大綱(案) (平成24年度〜平成28年度)」,8頁

*3:武石恵美子・佐藤博樹「時間意識の向上のためのモデル事業と働き」佐藤博樹, 武石恵美子編著『ワーク・ライフ・バランスと働き方改革』(勁草書房,2011年)111頁

ワーク・ライフ・バランスと働き方改革

ワーク・ライフ・バランスと働き方改革

*4:大塚万紀子「実務の現場から提案する残業削減の必要性と課題」(前掲注4・所収)