三条市は10日、2012年度の職員採用試験から「教養試験」を廃止し、新たに「基礎能力試験」と「適性検査」を実施すると発表した。主体性や行動力のある人材確保が目的。民間企業の採用活動時期も意識し、一般事務職(大学卒業程度)などの前期試験をこれまでより約2カ月間早める。
 同市によると、県内の市町村で教養試験を無くすのは初めて。幅広い一般知識が必要となる教養試験と異なり、基礎能力試験は、文章理解や数的処理能力、論理的な思考力などを問う。求めているのは「素直な肉食系」という。市行政課は「自ら考え、実行する力強さを兼ね備えた人材が欲しい」と話す。

本記事では,三条市における職員採用の取組を紹介.本記事後段でも紹介されているように,同市の職員として期待される人物像は,「素直な肉食系」とのこと.「教養試験」を廃止し,「基礎能力試験」と「適性検査」を実施することでこれらの人物像をもつ新規職員を採用される方針.一見すると相反する気質のようでもああり,何だか興味深い.
同市では,例えば,「地方自治法地方公務員法には自信があります」という受験者に対しては,「それらの知識は,採用後に嫌でも学んでもらいます」,「自信を持つのはそれからで構いません」との方針を示されている.また,「協調性には自信があります」という受験者には,「「付和雷同」なら意味がありません」として,「ときには「対立」や「摩擦」も必要」ともする.最後に,「公務員になるためずっと試験対策をしてきました」という受験者に対しては,「努力する力はとても大切です」とのしつつも,「ただ,仕事には試験対策だけでは乗り越えられないこともたくさんあります」として「採用されてからが勝負です」*1との考えを示してる.そこで,同市で「求める人物像」としては,本記事でも紹介されているように,「素直な肉食系」*2であるという.ただ,「素直な肉食系」とは,もう少し敷衍されていると分かりやすそうか.
また,同市に勤務されている職員の方々の多くも「素直な肉食系」となれば,更に興味深そうな職場.新規採用職員の方々には,実際的には,二つの気質の何れかが勝り,「素直でない肉食系」であることも,「素直すぎる肉食系」もいるはず.または,潜在的には,「素直な草食系」や「素直でない草食系」の可能性もなくはない.ただそのような場合でも,既に同市で勤務される「素直な肉食系」職員の皆さんを「モデル人物」とおき「観察行動」*3を通じて,新規採用職員が,人物としての気質を持ちつつ,各自の職員像の形成も可能とも思わなくもない.実際の採用状況は,要確認.

*1:三条市HP(市政・データ募集職員募集)「職員採用情報(2013年採用)(正職員)

*2:三条市HP(市政・データ募集職員募集職員採用情報(2013年採用)(正職員))「採用試験計画等

*3:元山年弘・金井壽宏谷口智彦「管理職」金井壽宏,楠見孝編『実践知』(有斐閣,2012年)136頁

実践知 -- エキスパートの知性

実践知 -- エキスパートの知性