広島県は5月、道路整備や河川改修など2020年度までに予定する公共工事662事業の優先度を定める。分野や目的別に仕分けしたグループ単位でランク付けし、本年度分の執行を含めて予算配分の基準にする。県財政が厳しい中、事業選択の透明性を高め、必要性の高い工事を確実に進めるためで、都道府県で初の取り組みという。
 県によると、土木局の所管する662事業を(1)道路(2)街路(3)交通安全(4)河川(5)砂防(6)海岸(7)港湾―の7分野ごとに、広域交流や集客、防災などの目的に応じて六つに分ける。さらに、その中を優先度順にA、B、Cの三つに区分け。計126のグループができる。該当事業のないグループを除くと、662事業は最終的に43グループに分類される。県は、費用対効果や地元の協力姿勢などを基準に1位から43位までの順位を決める。県は3月、大学教授や経済団体の代表者でつくる検討会議に新たな評価制度と順位付けを示し了承を得た。県市長会と県町村会、県議会の意見を聞いた上で5月に正式決定し、順位を公表する。
 これまでの予算配分では、各工事の要求額を積み上げ、予算額を上回った場合は一律に削る方式だった。一方、県の中期財政健全化計画では、15年度の公共事業費を、補助金や県債を除いた一般財源ベースで10年度の8〜9割に減らす方針だ。従来の手法で一律カットを続ければ、優先度の高い工事でも完成時期が遅れるなどの影響が出かねないという。優先順位は3年ごとに見直す。県土木総務課は「必要性の高い事業は確実に完成させないといけない。予算配分の透明化にもつながる」としている。

本記事では,広島県における公共工事の優先順位付けの取組を紹介.同取組の詳細は,現在のところ,同県HPでは公表されてはいない模様.
同県では,2010年11月までに,「公共事業の計画的削減」により,2006年度比では,「補助公共・単独公共(建設)」では「35.0%」,「単独公共(維持)・直轄負担金」では「17.5%」 *1を削減.本記事後段で紹介されているように,同県では,2010年12月に『中期財政健全化計画』を策定され,「公共事業をはじめとする普通建設事業費」に関しては,「県債発行を抑制」し「公債費負担を軽減すること」を目的に「計画的に縮減」化とともに,「中枢拠点性の強化などに資する社会基盤の整備や県民生活の安全・安心の確保に繋がる地域生活基盤の整備(学校耐震化対策等)などに重点投資」*2とも記載されている.
そのため,一般的には「負の総合計画」*3とも解される「行革大綱‐実施計画の系」なる計画は,「財政再建」を企図された場合には,「富を増やすのにも貢献」*4する内容ももち,「正負一体の総合計画」*5としての色彩も併せ持つとも整理ができなくもない.これらの正の要素をもつ「重点投資」に関して,本記事にて紹介されている取組を通じて優先順位が付けられるのだろうか.具体的な手続,判断結果に関しては,公表後,要確認.

*1:広島県HP(分類でさがす県政情報・財政・統計県政運営・財政県の財政・予算財政状況広島県の財政状況(平成22年11月30日公表))「中期財政健全化計画」」(平成22年12月27日)

*2:広島県HP(分類でさがす県政情報・財政・統計県政運営・財政県の財政・予算県の財政・予算中期財政健全化計画について(平成22年12月策定))「中期財政健全化計画」」(平成22年12月27日)10頁

*3:金井利之『実践自治行政学』(第一法規,2010年)104頁

*4:ジョン.メイナード・ケインズ『雇用,利子,お金の一般理論』(講談社,2012年)193頁

雇用、利子、お金の一般理論 (講談社学術文庫)

雇用、利子、お金の一般理論 (講談社学術文庫)

*5:前掲注3・金井利之2010年:105頁