【東京】那覇市翁長雄志市長は20日、総務省川端達夫総務相兼沖縄担当相を訪ね、市の業務と権限が広がる中核市への移行を希望する申し出書を手渡した。10月中の閣議決定を経て、来年4月から県内初の中核市となる見通し。全国では42番目。
 翁長氏は申し出書を手交後、記者団に対し「(現在は県所管の)保健所機能を全面的に那覇市が受けることになる。保育園行政や母子寡婦福祉資金の貸し付け、特養老人ホームなど、県を経由していた業務を一元的にできるので、市民にとって頼もしい街づくりを頑張りたい」と述べ、業務の迅速化に期待を示した。川端氏は「(業務移管で)戸惑いもあるかもしれないが、頑張ってほしい」と激励したという。中核市移行で、保健所業務をはじめ約2900業務が県から市へ移管される。

本記事では,那覇市における中核市移行に関する総務相への申し出を紹介.
八王子市,松戸市市川市とともに,中核市移行への法定要件は見たす都市のうち,特例市の指定を受けていない四つの都市*1の一つである同市.本記事を拝読させて頂くと「10月中の閣議決定を経て」,2013年「4月より」中核市へと移行する予定.実際の事務移管の過程は,要観察.
一方,現在開催されている地方制度調査会では,その第17回専門小委員会において中核市特例市に関して審議されている.同回の同小委員会の議事録は,現在のところ公表はされていないものの,第18回の同小委員会に提出された資料「第17回専門小委員会(7月18日開催)における主な議論について」を拝読させて頂くと,「特例市の特殊性があまりなくなってきているのではないか.人口20万以上なら中核市になり得るという形に統合することもあり得るのではないか」*2との議論が提示.特例市制度に関しては廃止を含めた意見も同小委員会では示されている模様.同意見からは「人口20万以上なら中核市になり得る」ともあり,いわば中核市制度となる都市の量的拡大が想定されている.これにより,中核市制度の「希釈化」*3となりうるかは判然とはしないものの,では,中核市制度に関しては残置継続することとする,そのロジックも改めて考えさせられそう.
都市区分の「指定」を「政令」によることに加えて,その処理する事務の「具体的な内容」を「政令」で「指定」*4するという,2つの政令による指定手続を経ることが大都市等の特例制度の特徴ともいえる.前者は移行を希望する自治体と総務省,内閣というライン,後者は,(現行の事務配分からの変更がある場合には)府省内というラインの二つの手続が併存することになる.その場合,前者のいわゆる「昇格」*5運動を内包する都市区分への指定手続を経ることなく,「国としての一定の権限配分を定めつつ,それ以上の権限移譲」は「条例による事務処理特例制度を活用するといった二段構造」*6とすることが,二つの指定をめぐる手続に要するコストからも明解とも考えられなくもない.今後の同調査会での審議状況も要経過観察.

*1:総務省HP(組織案内審議会・委員会・会議等地方制度調査会会議資料 第30次地方制度調査会第17回専門小委員会)「資料2中核市・特例市に関する検討の視点」13頁

*2:総務省HP(組織案内審議会・委員会・会議等地方制度調査会会議資料 第30次地方制度調査会第18回専門小委員会)「資料1第17回専門小委員会(7月18日開催)における主な議論について」1頁

*3:金井利之『自治制度』(東京大学出版会,2007年)178頁

自治制度 (行政学叢書)

自治制度 (行政学叢書)

*4:松本英昭『新版 逐条地方自治法 第6次改訂版』(学陽書房,2011年)1275頁

逐条地方自治法

逐条地方自治法

*5:前掲注3・金井利之2007年:158頁

*6:前掲注2・総務省(資料1第17回専門小委員会(7月18日開催)における主な議論について)1頁