県庁本庁舎と名古屋市役所本庁舎で、国の重要文化財(重文)の指定を目指した調査が進んでいる。年内には市の有識者検討会も発足する。県と市の調査は来年度末まで続け、その後、国への働き掛けを本格化させる。十一月三日には両庁舎の公開イベントがあり、双方の担当者は「世論の盛り上がりにつながれば」と期待している。
 県庁舎は地下一階地上六階建てで一九三八(昭和十三)年に、市庁舎は地下一階地上五階建てで三三(昭和八)年にそれぞれ完成した。洋風建築に城郭風の屋根を載せた「帝冠様式」の建物が隣り合う景観は、わが国ではここだけという。壁や天井、タイルや内部の飾りなど建設当時のまま残されている箇所も多く、九八年には同時に国有形登録文化財に指定された。
両庁舎の重文指定申請は、大村秀章知事と河村たかし市長の共同公約。県と市は昨年、担当部署によるプロジェクトチームを設置し、それぞれの庁舎の文化財的な価値や現状の調査を進めている。県などの担当者は「文化庁も『帝冠様式が二つ並んでいる景観はほかにはない』と言っている。脈はある」と重文指定に自信をのぞかせる。自治体の中枢機能を持つ庁舎が重文に指定されれば全国初という。県庁舎は小中学校の社会見学で人気を集めているほか、今年六月には豊橋市のプラモデルメーカーが模型を作り、売り出した。市庁舎もドラマや映画のロケ地に使われるなど関心が高まっている。市の担当者は「重文になることで、全国に誇れる建物というプライドを市民、県民に持ってほしい」と期待し、庁舎公開には「建物が自分たちの財産ということをあらためて認識してもらえれば」と話す。
 十一月三日の両庁舎の公開は、県庁が午前九時から、市役所は九時半から。いずれも午後四時までで無料。事前申し込みは不要。知事室や市長執務室、貴賓室などが見学できるほか、吹奏楽やダンスなどのステージイベントもある。問い合わせは県財産管理課=電052(954)6055、名古屋市総務課=電052(972)2106=へ。(吉光慶太)

両記事では,名古屋市と愛知県において,各庁舎への重要文化財の指定を目指した調査の取組状況を紹介.
2010年6月16日付の本備忘録では,同市庁舎の市民への「開放」の取組と2011年11月1日付の本備忘録では,同市庁舎の「結婚式」開催の取組,そして,2012年6月8日付の本備忘録では,愛知県庁舎のプラモデル販売について記録.両庁舎の重要文化財指定に関しては,市県間で「「中京独立戦略本部」の設置に先行し」「愛知県・名古屋市の実務者レベルによる」「課題の整理や施策の検討」を図るために設置された「中京独立戦略本部に係るプロジェクトチーム」の一つとして,本記事でも紹介されている「庁舎重要文化財・開放PT」*1も設置.2011年9日から2012年3月28日までに4回のPTが開催されたことが分かるものの,各回の「結果議概要」では主に「説明」と「意見交換が行われた」*2などの事実記載に留まり,各回で行われた説明と交換された意見の内容は現在のところ把握できない状況にある.残念.本記事では,その進捗度も分かり興味深い.
本記事後段にも紹介されているように,2012年11月3日には「県庁本庁舎」が「公開」.2階の「講堂」,3階の「知事室」,5階の「貴賓室」,6階の「災害情報センター」,地下1階の「文化財保存ヤード」という「一般の方に普段は公開していない場所」*3も公開されるという.重要文化財への指定による保護とともに,庁舎ならではの,執務空間としての利用や住民利用の空間という観点からも,日常的にも「利用者から」見ても「楽し」*4い空間として保護,開放されると興味深そう.