島根県職員の「志望者不足」解消に県が苦心している。団塊世代の退職で募集定員を増やしたが、「大卒程度」の受験者は伸び悩みが続く。「優秀な人材の確保には受験者増が不可欠」とみて民間企業志望者の取り込みを図るが、成果は挙がっていない。
 県人事委員会は「財源不足を理由に、2003〜11年度に実施した給与カット(6%)の影響もある」とみる。だが、カットを終えた12年度も、職員給与は全国47都道府県で最低水準にとどまっている。同委員会によると、8月に終えた12年度採用試験の「大卒程度」の受験者数は508人。合格者は74人で受験倍率は6・9倍だった。退職増を補うため、07年度17人だった採用者数を08年度は約3倍の45人、09年度は約4倍の69人に底上げ。現在もこの水準を保つ。
 しかし、受験者は08年度413人、09年度539人と採用者数に比例して増えず、その後も500人前後で推移する。県は10年度、「大卒程度」の約半数を占める行政職の採用試験について、従来は2次試験からだった面接を1次から導入。「専門知識が求められる筆記試験のウエートを下げることで、間口を広げた」(同委員会)という。また受験者年齢の上限も3歳引き上げ、32歳とし、民間志望者の受験にも期待するが効果はまだ見えない。
                 

両記事では,島根県における職員採用への応募状況を紹介.
現在,同県HPで掲載されている「採用試験の申込・受験状況」は2010年度*1から2012年度*2までの過去3年間.3年間の募集状況は,それぞれ「大学卒業程度(行政)」に絞ってみて見ると,2010年度の373名から,2011年度は311名,そして,2012年度は309名とある.確かに漸減傾向にあるものの,一定数の安定した募集があるようでもある.
一方,2002年度からの推移をまとめられた本記事(本記事に掲載された「県採用試験者の受験者と倍率」のグラフ)を拝読させて頂くと,2004年度を境に募集が急速に減少したことが分かる.
本記事では,その要因を「給与カット(6%)の影響」との見解も紹介.なぜ,自治体間で受験者数の相違が生まれるのか,そして,人は給与のための働くという「理論的考察」*3があるとすれば,採用試験の差異は,給与がその要因とのなるのか,考えてみると興味深そうな研究上の問い.調べてみたい研究課題.

*1:島根県HP(県の取組み・一般職員募集職員採用用職員採用情報)「主な試験実施結果 (平成22年度)

*2:島根県HP(県の取組み・一般職員募集職員採用職員採用情報)「申込・受験状況(平成24年度)

*3:竹田憲史「相関関係」松田憲忠・竹田憲史『社会科学のための計量分析入門』(ミネルヴァ書房,2012年)219頁

社会科学のための計量分析入門―データから政策を考える

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