市民らの出資で公共施設などに太陽光発電システムを設置し、売電収益を出資者に還元する京都市の「市民協働発電制度」の骨子が、31日までに固まった。環境保全に取り組む多様な団体などで運営主体を構成し、収益還元では現金のほか京都の特産物などを「配当」とすることも盛り込んだ。政令指定都市では初めての取り組みで、市は年度内に第1号機を稼働させる方針。
 景観配慮やスペースが足りないなどの事情で太陽光パネルが設置できない市民らから、1口10万円を目安に出資を募る。NPOや企業などで構成する一般社団法人を運営主体とし、公共・民間施設の屋上などを借り太陽光発電システムを設置する。国の再生可能エネルギーの全量買い取り制度を活用。発電した電力は関西電力に売電し、その収益を出資者に還元する。還元率は15年国債金利(年約1・3%)を想定し、現金で受け取るか、地元特産品などを用意し、出資者が選べるようにする。
 市は本年度中に20キロワット程度のシステムを1カ所以上設置する計画で、年間発電量は約2万キロワット時を想定。一般家庭5軒分の使用電力に相当し、関電への売電で最低でも年間約61万円の収入を見込む。市の条例で二酸化炭素の排出量削減を義務づけられている事業者約150社が屋上などを貸し出した場合、発電量に見合う削減効果を認めるようにする。制度創設に向け環境などの専門家や市民ら7人でつくる検討委員会で議論を重ねてきた。市地球温暖化対策室は「他都市にはない京都らしさを盛り込んだ制度になった。多くの方に賛同してほしい」と出資を呼び掛けていく。

本記事では,京都市における「市民協働発電制度」の検討内容を紹介.
同市では,2012年8月より「京都市市民協働発電制度検討委員会」を設置し,同制度の「スキームのあり方」,「運営主体のあり方」,「スキームの採算性評価」,「京都市としての支援のあり方」*1を検討を開始されている.同委員会での検討結果を踏まえて,2013年3月までに「運営主体の決定」を行い,「参加者募集」「資金調達」「工事(工事計画期間含む)」「電力受給契約」を経た後,「第1号市民協働発電所運転開始」*2を予定されている.第1回目では「事業スキームを構成する要素の特徴」として,市民による運営主体への「直接出資型」,「信託会社」へと預託する「信託型」,「運営主体」が京都市となり市民債を発行する「市民債発行型」*3をの3パタンを例示.
その後,第3回では,運営主体は「京都市域を中心に環境活動に取り組んでいる多様な主体により構成」となり,同運営主体が市民から「直接出資又は間接出資(信託)」,そして「寄付の受付も視野」を含めた資金調達を行い,「元本は満期一括」「地元の特産物等は毎年」とする還元方式を採用する,直接出資型としての「市民協働発電の事務局案」*4へと集約されている.「設置場所」では「公共施設(屋根等),民間事業者施設(特定事業者等),一般住宅」として,特に,「特定事業者制度との連携」*5が課題とされていた.
本記事を拝読させて頂くと,「発電量に見合う削減効果を認める」方針とも報道.「ポジディブのインセンティブ*6が整備される模様.インセンティブに導かれた民間事業者の設置とともに,なによりも「まずは公共施設に設置」*7の広がり方も,要観察.

*1:京都市HP(市の組織環境政策局各課の窓口地球温暖化対策室第1回京都市市民協働発電制度検討委員会の開催について)「資料3第1回京都市市民協働発電制度検討委員会【検討資料】」8頁

*2:前掲注1・京都市(資料3第1回京都市市民協働発電制度検討委員会【検討資料】)10頁

*3:前掲注1・京都市(資料3第1回京都市市民協働発電制度検討委員会【検討資料】)20〜22頁

*4:京都市HP(市の組織環境政策局各課の窓口地球温暖化対策室第3回京都市市民協働発電制度検討委員会の開催について)「資料1第3回京都市市民協働発電制度検討委員会【検討資料】」15頁

*5:前掲注4・京都市(資料1第3回京都市市民協働発電制度検討委員会【検討資料】)12頁

*6:北村喜宣『環境法』(弘文堂,2011年)154頁

環境法

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*7:前掲注4・京都市(資料1第3回京都市市民協働発電制度検討委員会【検討資料】)12頁