大野郡白川村荻町の世界遺産の合掌造り集落内への観光客のマイカー乗り入れ規制で、23日に開かれた荻町区の定期総会「大寄合(おおよりあい)」で大多数の住民が規制に同意し、正式に村に要望を出すことが決まった。産業としての観光より世界遺産保全を住民が選択した形で、荻町区長で荻町交通対策委員長の佐藤一弘さん(54)は「これで世界遺産の価値は上がると期待している」と話した。
 要望するのは、集落を貫く村道(旧国道156号)約1キロの通年での乗り入れ制限。また、制限に伴って、飲食店の貸し切りバスや障害者のための村営駐車場とバスターミナルの整備などを求める。規制は法的拘束力はなく住民が自主的に実施するもの。村側も、21日の村議会定例会で、住民の要望を受け入れる方針を示している。
 合掌造り集落は1995年に世界遺産に登録されて以降、観光車両が急激に増加。住民が農地転用の申請を経ずに営業する民間駐車場も問題になり、ユネスコの諮問機関から改善を求める指摘もあった。荻町区では伝統的建造物群保存地区内の民間駐車場の是正を求めるガイドラインを定めたほか、今年、集落内の公共駐車場を廃止するなど交通問題解消に長年かけて取り組んできた。規制が行われれば、集落内の駐車場の営業は必然的に撤退する方向に向かう。
 23日の大寄合には荻町区の約140世帯中115人が出席。規制については、バスターミナルを新設することに戸惑う意見があったもののほぼ全員が同意した。白川郷荻町集落の自然環境を守る会の和田正人会長(52)は「住民の生活の糧を奪うのは苦しいが、住民の決断として子や孫に胸を張って渡していける世界遺産にしていきたい」と話した。

本記事では,白川村における村道規制の方針を紹介.
宮本常一著『忘れられた日本人』(岩波書店1984年)のなかでは,「「みんなが納得いくまではなしあった.だから結論が出ると,それはキチンとまもらねばらなかった」「寄あい方式」*1方法.同村内では,同村内の萩町で,「140世帯中115が出席」開催された「大寄合」にて村道への「乗り入れ制限」を決められた模様.なるほど.
本記事では,同「村側も」「村議会定例会で,住民の要望を受け入れる方針」とも報道.「提案」*2としての対応なのだろうか.今後の同村における方針も要確認.

*1:宮本常一『忘れられた日本人』(岩波書店1984年)16頁

忘れられた日本人 (岩波文庫)

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*2:柴田直子「第3章 参加と統制」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)61頁

地方自治論入門

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