新庁舎整備に伴い、能代市が「原則解体」から「減築・保存」に方針転換した国登録有形文化財の市議会議事堂について、市議会の「議事堂を考える議員有志の会」(柳谷渉世話人代表)は26日、市中央公民館で市民説明会を開いた。庁舎整備後は議場を大会議室などとして使うとの市の方針に対し、引き続き議場として活用することを求める出席者からは「唐突で戸惑いを覚える」などの声が上がった。
 市議7人を含む計17人が出席。市民から「何がきっかけで方針転換にかじを切ったのか。一体どういうところから意見を聞いて、こうした結論に至ったのか」「議会の議論は、解体した場合の庁舎建設費や維持管理費などコストの面に偏ってきたように思う」などの質問や意見が出された。これに対し、市議やオブザーバーとして出席した市当局の担当者は「パブリックコメント(意見公募)や市民説明会などで寄せられた意見は、解体と保存に二分される。どうやれば双方から理解を得られるかを基に判断した」(市総合政策課庁舎整備推進室)、「議会の中にも多様な意見があり、当局との間でさまざまな質疑が交わされているが、市民の皆さんに伝えきれていない部分もある」(市議)などと答えた。

本記事では,能代市における庁舎整備の検討状況を紹介.
2012年10月1日から同月31日までの間で「市民意見募集」*1された『能代市庁舎整備基本計画(案)』では,「議事堂」に関しては次の方針が明記されている.まず,議事堂は「すでに建築後60 年を超えていること」から,「耐震補強は,構造体の強化であって建物自体の寿命を延ばすためのものでないこと」,そして,「鉄筋コンクリート造の新庁舎に議会関係諸室を整備した場合よりも相当早い時期に,大規模改修等が必要になるものと予想され」ること,さらには「その際の経費は全て市の負担」となることから,「市民の利便性や議会機能の充足度,後年度負担.庁舎の防災拠点機能の強化等の観点から総合的に判断し,新庁舎に新たな議場を整備」,つまり「議事堂建物は原則,解体のうえ,跡地を庁舎敷地として活用」*2する方針とある.
2012年12月に開催された定例議会で,パブリックコメント結果が説明.内容は「現議事堂の扱いに関する意見が最も多く,保存すべきとの意見,解体すべきとの意見,条件次第で保存又は解体すべきとの意見」があった,という.加えて,「議事堂の保存を求める要望書の提出」が「市民グループから1件,県外の建築関係団体から4件」,「議事堂の存続・活用を求める署名簿も提出」.これらの意見は,2012年11月月8日に開催された「庁舎整備特別委員会に報告」,同月26日の「同委員会で改めて意見」を聴取.結果,「現議事堂を議事堂としては使用しないことと」,「国登録有形文化財としての形態を保持しながら,議場部分を残して大会議室等に活用する」こと,「一般開放もしたい」*3との考えが示されている.
減築保存」の概要は,2013年1月11日付の毎日新聞では次のように紹介.「「減築」で取り壊される」部分は,「1階の東側と北側の議員控室,2階の東側にある事務局,議長室など」.その結果,「減築後の延べ床面積は現在より402平方メートル少ない467平方メートル」となる.また,「減築した部分は,15〜16年度の2カ年で現在地への新築を目指す新庁舎の敷地」となり,「庁舎として使用することで,施設改修費などは合併特例債の活用が可能」*4になるという.なるほど.「地元の目」*5からみてどのように保存するか.今後の検討状況も要経過観察.