神奈川県鎌倉市は、由比ガ浜材木座、腰越の三海水浴場に愛称を付けるネーミングライツ(施設命名権)を購入する企業などを募集している。市が直営で夏に開設している海水浴場の維持運営費を補填(ほてん)する狙い。市によると、海水浴場の命名権売却は全国でも例がないという。
 命名権は、三海水浴場をまとめて一つの施設とみなし、全体を呼ぶ愛称を募集する。「○○由比ガ浜ビーチ」などと地名を用いても良い。監視所や監視台、案内板など海岸の施設、自社のホームページや出版物に愛称を表示できるほか、海開きの共催や海水浴場内での放送によるPRの特典がある。
 市は広報紙やホームページに掲載するとともに、FM局などのメディアに、観光、交通情報で愛称を使うよう呼び掛ける。募集は企業や団体、個人いずれも可能。契約は原則三年以上で、命名権料は年額百万円以上が条件。愛称表示は海水浴場を開設する七月から九月上旬までの六十二日間だが、ホームページなどでは年間通して使用できる。市は本年度予算に、海水浴場の維持運営費四千二百万円を計上。厳しい財政を補う措置として、命名権導入に踏み切る。募集受け付けは二十六日まで。審査委員会で選考する。問い合わせは市観光商工課=電0467(61)3884=へ。

本記事では,鎌倉市における命名権の取組を紹介.同条例に関しては,同市HPを参照*1
同取組では,「材木座海水浴場,由比ガ浜海水浴場,腰越海水浴場をまとめて一つの施設として」命名権を募集しており,命名権者は「地域の名称のほか海水浴場またはビーチの文字を用い」「企業名や商品名等の名前を付けること」*2が可能となる.ただし,募集要項を確認すると,「親しみやすさや呼びやすさなど,市民等の理解が得られる愛称」であること,「愛称には,地域の名称のほか海水浴場またはビーチの字句を用いること」ともある.名称は同「市が指定する」「監視所」「ライフガードが使用する機器」「監視台」「ブイ」「海水浴場内設置の案内板」「ライフガードのユニフォーム」で表示することができ,また,「海水浴場におけるスポンサーであること」を命名権車が「発行する出版物や自社のホームページ等で広報すること」や同「市の広報紙やホームページ等における施設名は原則として愛称を使用」*3される.
「提案に対する採用の可否,優先交渉権者の決定等」の審査・選定には「審査委員会を設置」.同委員会の「審査基準」は次の5項目を用いる.まずは「応募の趣旨」が本市のネーミングライツの目的に沿っているか」を10点満点で採点.二つめは「親しみやすいか,分かりやすいか」「海水浴場の管理運営に支障が生じないか」という観点から「愛称,デザインは適切か」を20点満点で採点.三つめは「提案金額(年額)」.具体的には,「提案金額(年額)が最高のものを1位として40点を付与」,「2位以下」は「提案金額を1位の提案金額で除して算出した率を40点に乗じた得点」として算出.四つめは「提案期間」であり「安定したネーミングライツの運用が図られる期間」であるかを10点満点で採点.最後は「施設と応募団体等の理念・事業内容等がマッチしているか」「地域貢献や支援の実績及び計画があるか」*4などの応募者の適切性を20点満点で採点する.
なお,「当該海水浴場」で「ビジネスチャンス」*5として,命名権者が,例えば自らの「商品を専売,または他の競合する商品を排除させたい場合」への留意事項も同要項では予め記載.その場合,命名権者が「各海水浴場組合(海の家)と調整する必要があり」,仮に「各海水浴場組合と合意できな」い場合には「専売や競合商品の排除はでき」*6ないともある.
今後の応募状況は要確認.