復興庁は22日、宮城県が申請していた「水産業復興特区」について、23日付で認定すると発表した。漁協に優先的に与えられてきた漁業権を民間企業にも開放し、カキの養殖業の早期再建を進める。水産特区が認められるのは全国初で、同県は9月からの導入を目指す。
 復興庁は「津波で壊滅的な被害を受け、地元の漁業組合だけでは再生は困難」(宮城復興局)と判断した。対象区域は石巻市桃浦地区の一部。同地区のカキ養殖業者らが仙台市の水産卸業者と共同出資する合同会社に漁業権を付与することを想定している。これにより、生産、販売、加工を一手に手掛けることが可能になる。

本記事では,宮城県における「水産業復興特区」の申請への復興庁による認定方針を紹介.
「漁民の自治」では,漁業権という制度とともに,「漁場利用体系は,浜ごとに漁民同士が調整に時間と労力を要して積み上げてきた」*1いわば自主的な「共同管理」*2を通じた,「漁業資源の有効活用」*3も果たしてきたという.同特区制度では「一方的な撤退」による「地元の漁業者が大きな損失を被」ることがないように,「地元の漁業者が民間企業の資本の手を借りて」法人を設立し,「仮に撤退という経営判断をする場合でも,漁業者の同意を得なければ一方的に撤退することは不可能」*4ともされる.特区認定後での,制度と実態双方の「漁場管理システム」*5の運営も

*1:濱田武士『漁業と震災』(みすず書房,2013年)145頁

漁業と震災

漁業と震災

*2:高村学人『コモンズからの都市再生』(ミネルヴァ書房,2012年)14頁

コモンズからの都市再生―地域共同管理と法の新たな役割

コモンズからの都市再生―地域共同管理と法の新たな役割

*3:飯尾潤現代日本の政策体系: 政策の模倣から創造へ 』(筑摩書房,2013年)156頁

*4:村井嘉浩『復興に命をかける』(PHP,2012年)85頁

復興に命をかける

復興に命をかける

*5:前掲注1・濱田武士2013年:142頁