川崎市は、ものづくりなどの最前線で活躍する市内の職人たちを紹介する冊子「匠(たくみ)の技 川崎の職人仕事」を発行した。次代を担う学生らに職人の仕事に関心を持ってもらおうと、職人自ら仕事内容や魅力を伝え、必要な資格や仕事に就くためのアドバイスなどを掲載。市の担当者は「将来の職業として、選択肢の一つに入れてもらえれば」と話している。
 市が、技術・技能職者の団体「川崎市技能職団体連絡協議会」の協力を得て、初めて発行した。A4サイズで86ページ。洋裁師や調理師、とび職や左官など、第一線で活躍する30〜70代の42人の職人(35職種)が登場。本人が写真付きで、仕事内容や魅力、プロフィルを分かりやすく解説しているほか、仕事に必要な道具や一人前になるまでにかかる期間、どんな人が向いているかや目指す人へのメッセージなどを、自らの言葉で紹介している。
 左官一筋50年、進和工業(川崎区)の永田豊博さん(65)は「どんな建物を建てるときにも左官の仕事だけは手仕事。建築の現場がある限り、ずっと続けられる面白い仕事」とその魅力を紹介。「資格はなくても仕事は始められる」とし、「やる気さえあればどんどん技術を習得できるので、思い切って飛び込んで来てほしい」とアドバイスしている。市は2千部発行し、市立の全小中高校、各区役所などに配布する。5月中に市のホームページに掲載予定で、市労働雇用部は「職人の世界には魅力的な仕事がたくさんある。ただ、どうやったらなれるのか分からないことも多く、参考にしてほしい」としている。
 市は、市内最高峰の匠の「かわさきマイスター」に昨年度認定された5人について、経歴やその技などを漫画で紹介する冊子(A4判、23ページ)も600部作製。こちらも市立の全小中高校などに配布するという。問い合わせは、同部電話044(200)2299。

本記事では,川崎市における職業紹介の取組を紹介.
1997年度から同市では,「手,道具又は機械を駆使」し「極めて優れた技術・技能を発揮して」「市民生活の向上に役立つものを作りだす仕事に現役で従事している健全な勤労市民」方へ,「かわさきマイスター」*1に認定.認定されたかわさきマイスターは.それぞれが「保持している技術・技能の記録,保存,展示,披露等に関する事業」や「教育現場での見学及び体験による学習,並びに実技及び進路等の指導に関する事業」,「その他技術・技能の尊重,振興及び継承に関する事業」*2への協力を求められる.また,同市では,認定したマイスターを「マンガ」*3にした冊子を公表もする.
一方で,本記事では,これらのかわさきマイスターに限らず「洋裁師や調理師,とび職や左官など,第一線で活躍する30〜70代の42人の職人(35職種)」を掲載した冊子を作成されたこと紹介.本記事でも紹介されているように「5月中に市のホームページに掲載予定」とのこと.「実践知は,個人の力だけで獲得されるものではなく,先輩・同僚など周囲の人との相互関係を築く中で獲得される」*4ともすれば,職人お一人おひとりとともに,一人の職人となるまでの周囲の方々の記録も掲載されているとより興味深そう.公表後,要確認.

*1:川崎市HP(事業者・就労支援情報産業振興・企業誘致かわさきマイスター川崎市マイスター事業の概要)「川崎市マイスター事業要綱」1頁

*2:前掲注1・川崎市川崎市マイスター事業要綱)2頁

*3:川崎市HP(事業者・就労支援情報産業振興・企業誘致かわさきマイスター)「マンガでわかる!かわさきマイスター

*4:楠見孝「実践知の獲得」金井壽宏,楠見孝編『実践知』(有斐閣,2012年)55頁

実践知 -- エキスパートの知性

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