県は市民団体と協力し、鎌倉に所有する古民家「明月荘」(鎌倉市山ノ内)を保全する取り組みを始めた。財政難から大規模修繕に手がつけられずにいたが、市民団体「神奈川まちづかい塾」が主体となって寄付金を募り、修繕や維持管理の費用を捻出する。県が所有する施設の保全費を市民の側が賄うという初めての試み。県財政は今後も厳しいことが予想され、黒岩祐治知事は「新しい協働事業のモデルとなる」と期待している。
 県によると、明月荘は1947年、海運事業を手掛けた故・石橋又義氏の住居として建てられた。約1万4500平方メートルの敷地に木造平屋の母屋と茶室、物置の建物3棟と庭園が広がる。昭和初期の住文化を今に伝える遺構として市民に親しまれてきた。69年ごろ、敷地にマンション建設計画が持ち上がったが、市民の反対運動を受け、県は緑地保全を目的に約4億円で土地と建物を取得。79年からは鎌倉市に無償で貸し出し、老朽化で2010年7月に開放が取りやめになるまで、市民の社会教育施設として茶道や俳句などで利用されてきた。
 「神奈川まちづかい塾」は、明月荘の維持管理をボランティアで進めようと、代表の小林紘子さん(71)=横浜市保土ケ谷区=が呼び掛け、10年に結成された。メンバーは約30人。地元住民の協力を得ながら庭園の維持管理をボランティアで行ってきたが、このほど県と10年間の協定を結び、募金などで資金を集め、修繕活動も手掛けていくことになった。
 大規模修繕にかかる費用は主に材料費で約500万円を見積もる。寄付を募るほか、鎌倉市内で講演や音楽会、明月荘の茶室を使った茶会などの有料イベントを開催して捻出していくという。小林紘子代表は「緑に囲まれ、心安らぐすてきな場所だが、従来の活動では残せない。地元の協力も得ながら、10年間努力していく」と、新たな取り組みへの抱負を話した。

本記事では,神奈川県における古民家保全の取組を紹介.同取組は,同県HPを参照*1
本記事内で紹介されているように社会教育施設として利用されきた同古民家.2010年には一般開放の「閉鎖後」には,本記事が紹介する同団体から「申し出」があり,「庭園の維持管理」を同県が依頼.そして,「同団体から」「イベントや募金活動などで資金を得ながら,自分たちの手作業により,建物の修繕活動及び庭園や敷地内の山林の維持管理を行いたいという申し出」を受けて,同県では同団体に「活動の場として」同古民家を「提供」し,「庭園と緑地の維持管理を行うため協定」*2を締結されている.
本記事によると「材料費で約500万円を見積も」られているという修繕費用では,同団体が「寄付を募るほか,鎌倉市内で講演や音楽会,明月荘の茶室を使った茶会などの有料イベントを開催して捻出」する,という.寄付や利用料収入を通じた修繕となると「道普請」*3ならぬ古民家普請の取組としても整理ができそうか.興味深い.

*1:神奈川県HP(神奈川県記者発表資料記者発表資料 県政記者クラブ2013年度の一覧2013年度4月)「昭和初期の住文化を今に伝える北鎌倉『明月荘』を民間団体との協働で保全・活用へ

*2:前掲注1・神奈川県(昭和初期の住文化を今に伝える北鎌倉『明月荘』を民間団体との協働で保全・活用へ)

*3:西尾勝自治・分権再考』(ぎょうせい,2013年)19頁

自治・分権再考

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