道人事委員会は30日、来年度採用の大学卒業程度を対象とした道職員採用試験結果を発表した。民間企業と併願しやすいよう試験内容を大幅に見直した結果、受験者数は前年より80%も増加。これまで出身学部の6割を占めていた法学や経済学系が減り、理系が増える変化もあった。
 今回の試験は5〜7月に実施。大卒程度を対象とした「一般行政A」(採用予定数100人)に1158人が応募。937人が受験し、105人が合格した。同じ大卒程度を対象とした昨年同期の「上級・一般行政」(同50人)と比べ、応募者数は50%増、受験者数は80%増加した。合格者の出身学部はこれまで6割を占めていた法学、経済学系が5割に減り、農学系や情報科学系、社会福祉系の学生が増加した。

本記事では,北海道における職員採用試験の結果を紹介.
2014年度採用者の試験となる,2013年度から「新しい採用試験制度」*1を導入した同道.具体的には,試験種類が「「上級」「中級」「初級」」から「北海道行政職員採用試験」へと一本化する一方,試験区分を「職務内容と年齢ごとに「A(22歳〜30歳),B(18歳〜21歳),C(社会人経験者)の3つ」*2に再区分した.また,従来,上級職・中級職は「6月下旬」,初級職が「9月下旬」であった1次試験の日程を,「幅広い層の方々に受験」できるように「一般行政A」「教育行政A」「警察行政A」は「5月中旬」*3へと早期化,また,「一般行政A,教育行政A区分」は「9月上旬」と「年2回試験」が開催される.本記事で紹介された合格結果は「一般行政A」の5月実施分となる.また,試験内容も「教養試験の見直」すとともに「専門試験を廃止し,新たに論理的思考力,構想力等を評価する小論文試験を実施」するともに「人物重視の試験」を企図され「第2次試験」となる「個別面接を2回に拡充」「第3次試験の個別面接,集団討論とあわせ,4回の人物試験」*4を実施.
「一般行政A」の採用予定者数は100名.これに対して1,158名からの申し込みがあり,実際には937名が受験.第1次試験合格者は475名と受験者の5割が合格.第2次試験では206名,最終合格者数は105名となり,最終倍率は「8.9」*5であった.
本記事では,上記の同道資料で公表されている応募者数に加えて,「合格者の出身学部」も報道されている点が特徴的.「これまで6割を占めていた法学,経済学系が5割に減り,農学系や情報科学系,社会福祉系の学生が増加」したという.同結果は,試験による特定の専門知識・専門能力での選抜に,限らず幅の広い知識・能力に基づき選考された結果であるか,「選考を重視して人物を見極め」*6た結果であるのか,考えてみると興味深い観察課題.

*1:北海道HP(本庁各部・局人事委員会事務局任用課:北海道職員等採用情報新しい採用試験制度(H25〜)とは)「北海道職員新しい採用試験制度について 平成25年度からスタートします」(北海道人事委員会,平成24年4月)

*2:前掲注1・北海道(北海道職員新しい採用試験制度について)2頁

*3:前掲注1・北海道(北海道職員新しい採用試験制度について)2頁

*4:前掲注1・北海道(北海道職員新しい採用試験制度について)3頁

*5:北海道HP(本庁各部・局人事委員会事務局任用課:北海道職員等採用情報新しい採用試験制度(H25〜)とは)「平成25年度北海道行政職員採用試験 公立小中学校事務職員採用試験 実施状況

*6:出雲明子「第8章 地方公務員制度と人事管理」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)161頁

地方自治論入門

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