総務省は3日、自治体が老朽化に伴い解体・撤去したいと考えている公共施設数が、全国で1万2251件に上るとの調査結果を公表した。
 都道府県と市区町村に対し、9月1日時点で所有する学校などの公共施設について、解体・撤去の意向などを聞いた。福島県の3町を除く1786団体から回答があった。こうした調査の実施は初めて。
 解体・撤去を希望する施設の内訳は、公営住宅2810件、学校など教育関係施設2337件、職員宿舎1366件など。築年数は平均で41年だった。これらの施設の解体・撤去に必要な費用は約4039億円の見込み。同省は、自治体の厳しい財政状況などを勘案し、2014年度から、施設の統廃合などの管理計画を策定した自治体に限り、地方債を発行し解体・撤去費を賄うことを認める。

本記事では,総務省における「公共施設等の解体撤去事業に関する調査結果」を紹介.
2013年6月19日付の本備忘録でも記録した地方債の公共施設の解体財源への利用可能とする取組.同取組の一貫となる同調査結果は,全1,789自治体を対象に実施し, 1,786自治体から回答を得た「回答率」「99.8%」.各自治体が「保有する公共施設等のうち解体撤去の意向のあるものを対象」とし,「現地建替等」や「他の建設事業と一体的に解体撤去を予定している施設」は「調査の対象外」*1とされている.
調査結果の「回答施設数」は「12,251」件.内訳は「解体撤去の時期」が「緊急(1〜2年以内)」の施設は「3,969」件と「32.4%」,「数年程度後」は「3,273」件と「26.7%」,そして,「未定」は「5,007」件の「40.9%」*2とある.「平均築年数(年)」は全施設では「41」年とあり, 「緊急(1〜2年以内)」の区分では「42」年, 「数年程度後」の区分では「41」年,「未定」の区分では「42」*3年と,大きな差異は見られない.そして,具体的な「解体撤去費用」は総額「403,944」百万円と推計されており,この内訳を区分毎でみると「緊急(1〜2年以内)」の区分では「115,411」百万円, 「数年程度後」の区分では「127,567」百万円, 「未定」の区分では「160,965」*4百万円と,解体時期が長期化(不確定化)に伴い金額が高くなるようすが窺える.
同調査では,施設を「公営住宅」「教育関係施設」「職員宿舎」「庁舎等」「社会福祉関係施設」「廃棄物処理施設」*5の7種類に分類し,個々の施設の状況も整理する.下名の関心はやはり2008年12月7日付の本備忘録で項目立てを試みて以来の本備忘録の断続的な観察課題のひとつ「庁舎管理の行政学」の観点からも,全体の「9%」「1,081件」*6となる「庁舎等」の状況.同件数のなかには「本庁舎,支所等,警察施設,消防施設」が含まれている.「庁舎等の状況」を確認すると「平均築年数」は「40」年とほぼ平均並み.使用状況は,まず「使用中」は「751」件と「69.5%」を占め,「利用制限中」が「65」件と「6.0%」,「休廃止」が「264」件と「24.4%」*7の現状にある.「解体撤去費用」は「32,308」*8百万円と推計されている.
同調査からは,他の施設区分に比べると「庁舎等」は「平均築年数」は平均的であり,方や「解体撤去費用」は中位ながらも,とはいえ現況は「使用中」最も高い施設区分であることが分かる.「オフィシャルスペース」*9として業務をじっくりと継続することが優先され,他の公共施設の解体・撤去状況を見計らったうえで,自らは殿になることを判断されているのだろうか.実際の解体・撤去状況は,要確認.

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧2013年12月「公共施設等の解体撤去事業に関する調査」結果の公表)「公共施設等の解体撤去事業に関する調査結果」(総務省自治財政局地方債課,平成25年12月)1頁

*2:前掲注1・総務省(公共施設等の解体撤去事業に関する調査結果)2頁

*3:前掲注1・総務省(公共施設等の解体撤去事業に関する調査結果)2頁

*4:前掲注1・総務省(公共施設等の解体撤去事業に関する調査結果)2頁

*5:前掲注1・総務省(公共施設等の解体撤去事業に関する調査結果)2頁

*6:前掲注1・総務省(公共施設等の解体撤去事業に関する調査結果)3頁

*7:前掲注1・総務省(公共施設等の解体撤去事業に関する調査結果)9頁

*8:前掲注1・総務省(公共施設等の解体撤去事業に関する調査結果)9頁

*9:馬場正尊,Open A『RePUBLIC 公共空間のリノベーション』(学芸出版社,2013年)

RePUBLIC 公共空間のリノベーション

RePUBLIC 公共空間のリノベーション