四日市市は二〇一四年度から、海外航路の勤務などが長期にわたる船員の住民税を減額する。全日本海員組合が全国の自治体に要望しており、実施するのは四日市市が初めて。市の担当者は「海上では十分な行政サービスが受けられないため」と説明している。
 市市民税課によると、連続して六カ月以上、海上で働く船員が対象で、住民税のうち一律に課される均等割六千円(年額)を半分の三千円にする。均等割の内訳は市民税三千五百円、県民税二千五百円。県も了承し、それぞれ半額にする。全日本海員組合名古屋支部によると、かつては船員の住民税の減額などをする自治体があったが、一九八九年の旧自治省の指示で廃止になった。二〇一一年に指示が無効になったのを機に、港を抱える自治体を中心に働きかけてきた。
 海外航路に従事する日本人船員は高齢化などのため、四十年前に比べると一割以下に激減した。市の担当者は「海運は流通の根幹を担う。日本人船員の確保は重要な問題」と話し、組合名古屋支部の森本雷行(らいあん)支部長(39)は「他都市にも減税の動きが広がれば」と期待する。支部によると、会員のうち民間商船や客船など海外航路に従事する四日市市の船員は三人。(佐野周平)

本記事では,四日市市における住民税減額の方針を紹介.
2013年2月定例議会において,同市長より「個人市民税の均等割は応益」の「性格が強いことなど」を理由に,「外航船員のように,連続して6カ月を超えて行政サービスの受益に制限がある場所で勤務する方」を「平成26年度を目標に均等割の2分の1を減免したい」*1と述べられた,住民税の減免措置の方針.本記事によると「連続して六カ月以上」「海上で働く船員」を「対象」とされ,「均等割六千円(年額)を半分の三千円」とし,市民税とともに県民税が「それぞれ半額」となる模様.
「応益性」とともに「負担分任性」*2からも2分の1の減免となる同市の個人市民税の均等割.「行政サービスの受益に制限がある場所で勤務」する場合での,「制限」という文言が想定する範囲次第ではあるものの,他の「連続して六カ月以上」に同条件にある職種に就く住民も含まれることになるのだろうか.公表後,要確認.

*1:四日市市HP(四日市市議会よっかいち市議会だより)「よっかいち市議会だより」No.285,平成25年5月5日,9頁

*2:砂原庸介「第7章 地方財政と予算管理」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)139頁

地方自治論入門

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