県は10日に開かれた県議会代表者会議で、東日本大震災東京電力福島第1原発事故の復旧・復興工事に限り、知事が専決処分できる条件を緩和するよう議会側に要請した。専決処分の条件見直しは議員から提案する必要があり、各会派で対応を協議する方針。復旧・復興事業の加速化に向け、議会側は前向きに応じる構えだ。
 議会が議決した契約内容を変更する際は、現行制度では契約額の割合が全体の5%以内、金額は5000万円以内に限定されている。県は、条件緩和で契約額の割合を20%以内に広げ、金額の上限を撤廃したい意向。工期の延長も現行制度の1カ月以内から6カ月以内への拡充を求めている。

本記事では,福島県における専決処分に関する条件緩和の検討状況を紹介.
1964年3月31日に議決され,1977年3月24日に改めて議決された同県の「知事の専決処分について」では,次の4つの条件のもとで「専決処分をすることができる」と規定されている.
まずは,金融情勢の変化に伴い地方債に係る予算のうち利率を補正すること」,二つめに,「法令に別段の定めがあるものを除くほか,公有財産及び物品の貸借に関し最長五年の期間を限度として債務負担行為を定め,又はこれを補正すること」,三つめが,「損害賠償に係る事件でその金額が五百万円以下のものに係る和解及び法律上その義務に属する五百万円以下の損害賠償の額の決定に関すること」,四つめが「地方自治法第二百四十三条の二第四項の規定に該当する事件でその金額が五十万円以下のものに係る賠償責任の免除の同意に関すること」,最後に,「議会の議決を経て締結した工事又は製造の請負契約について」「契約金額をその百分の五以内(ただし,その変更額又は変更額の累計額が五千万円を超える場合を除く.)において増額し,又は減額すること及び工期又は納期を一月以内において延長すること」*1である.
本記事では,以上の条件のうち4つめの条件を「契約額の割合を20%以内」とし,「金額の上限を撤廃」し,「工期の延長も現行制度の1カ月以内から6カ月以内」とする案を現在検討されている様子.「政治資源としての時間の希少性」*2から「時熟」*3を待つことなく処分されることにより,復旧・復興に要する時間の変化も窺えそう.今後の改訂状況とその効果は,要確認.

*1:福島県HP(県例規集)「知事の専決処分について」(昭和五十二年三月二十四日議決)

*2:永井陽之助『時間の政治学』(中央公論社,1979年)81頁

*3:前掲注2・永井陽之助1979年:74頁