福井県は8日、2014年度9月補正予算案を発表した。社会問題化している女子学生のUターン促進など人口減少への対応と来春の北陸新幹線金沢開業、金沢―敦賀の前倒し開業を見据えた対策が柱。
 県が近く着手する県外女子学生のUターン促進事業は、福井県の人口減少を食い止めるのが狙い。県内企業に勤める女性が都市部に出向き、女子学生に県内就職のメリットや暮らしやすさをPRする。都市部に住む20〜30代の福井県出身女性150人にインタビュー調査を行い、故郷に戻らず県外に定住する要因も探り、政策に反映させていく。
 県によると県内出身学生のUターン率は20%台にとどまり、毎年2千人以上の若者が県外に流出している。特に女性のUターン率は10年前は約4割だったが、現在は約2割にまで大幅に減っている。Uターン率は、都市部の景況とかかわっており、アベノミクス効果や2020年の東京五輪決定で、率がさらに下がる可能性がある。本年度、県内企業の女性15人を「ふくいの就活女子応援員」に委嘱。2016年度までの3カ年事業の予定で、東京や大阪などに出向き、福井県出身の女子学生に、子育て支援が充実している福井県の暮らしやすさを伝える。県外定住の要因を探る調査は東京大と共同で実施。東京など都市部在住の福井県出身女性にインタビューを行うほか、県立大で人口減の要因分析や、国内外の人口減対策の先進事例を研究する。男女を問わず大学3年生を対象に行っていたインターンシップ(就労体験)は今後、1、2年生に拡大。「早い時期から企業情報を提供してほしい」(学生の親)「3年生のインターンシップでは大手企業ばかりに行ってしまう」(中小企業)といった声に応えた。Iターン促進にも力を入れる。来年3月までに、複数のIターン経験者が東京に出向き、都市部の若者を対象に座談会を開く。参加者募集だけでなく、座談会の様子も定住専門誌などで発信し、Iターンの上積みを狙う。県は8月、庁内に「人口減少対策推進本部」を設置。福井、鯖江坂井市なども本部を立ち上げており、県は市町や有識者との意見交換を積極的に行っていく。
 福井県の7月1日時点の推計人口は、78万9994人で、35年ぶりに79万人を割り込んだ。有識者でつくる「日本創成会議」は、地方から大都市への人口流出が続くと、福井県では9市町で40年までに20〜30代の女性が半分以下に減ると試算している。

本記事では,福井県における補正予算案を紹介.同予算案は,同県HPを参照*1
予算規模が「40億円」*2となる同補正予算.本記事では,同補正予算内のうち「人口減少対策」*3を紹介.同対策は4種類計上されており,まずは,「人口減少対策調査事業」として「1,200万円」がある.同事業は,同県の「人口減少対策推進本部」で「有識者や市町等と意見交換」する事業,「東京大学と共同」で「大都市圏在住の本県出身者にインタビュー調査」を「実施」する事業,「県立大学」で同県の「人口減少の要因や先進事例を分析・研究」*4する事業の3つとなる.
残り3つの事業は,次の通り.一つめは,「大学1,2年生を対象」とする「インターンシップの実施」や「女子大生を対象」に同県の「就職メリットのPR」,「企業見学会の実施」する「大学生の県内企業就職推進事業」が700万円となる.二つめは,「都市圏の若者を対象とした座談会の開催」や「全国誌等」で同県の「子育てしやすさ,暮らしやすさを発信」する「県外若年層誘致強化事業」が400万円である.最後に,「新規就農コースの定員」を「20名」から「30名」に「拡充」し,「研修用ハウス」を「18棟」「農業機械の整備」という「施設改修」,そして「インターンシップ研修」と「都市圏でのスカウト活動の強化」をはかる「ふくい園芸カレッジ研修事業*5」が8,800万円となる.
調査とともに,情報発信,基盤整備などの「多方面から情報を得て選んでいけるしくみ」*6を整備をも想定されている同補正予算.まずは,調査結果が興味深そう.公表後,要確認.

*1:福井県HP(県政情報行財政県の財政・IR関連情報財政・IR関連情報福井県平成26年度9月補正予算)「資料No.1−4平成26年度9月補正予算案」(福井県

*2:前掲注1・福井県(資料No.1−4平成26年度9月補正予算案」2頁

*3:前掲注1・福井県(資料No.1−4平成26年度9月補正予算案」3頁

*4:前掲注1・福井県(資料No.1−4平成26年度9月補正予算案」3頁

*5:前掲注1・福井県(資料No.1−4平成26年度9月補正予算案」4頁

*6:元森絵里子「「Uターン」とは何だろう③親の意向と本人の選択」東大社研・玄田有史編『希望学 希望の福井,福井の希望』(東京大学出版会,2013年)262頁