東京都と神奈川県、愛知県、大阪府名古屋市は11日、都市部の自治体の税収を国が吸い上げて地方に再配分する仕組みの撤廃などを求める共同提言をまとめた。自治体間で財源を取り合うのではなく、地方税財源全体の充実が必要と指摘した。政府が検討する法人実効税率の引き下げについては地方自治体に影響がないよう代替財源の確保を求めている。
 提言は13日、舛添要一都知事と愛知県の大村秀章知事が高市早苗総務相に伝える。国による地方税再配分で税源を奪われている大都市圏の自治体が連携し、この仕組みの廃止を強く求める。舛添知事は11日の定例記者会見で「東京の犠牲のもとに地方が豊かになってもしょうがない」と強調した。2015年度税制改正大綱がまとまる12月に向け官邸や与党へ働きかける意向を示した。

本記事では,東京都,神奈川県,愛知県,大阪府名古屋市による地方税財政に関する提言の内容を紹介.
「『日本再興を支える地方税財政の確立に向けて』都市からの提言」*1との名称による同提言.提言内容は,以下の4項目.
まずは,「法人事業税の暫定措置の撤廃」として,「法人事業税の暫定措置」を「消費税10%への引上げを待つことなく」「速やかに撤廃し、地方税として復元すること」*2を提案.二つめは,「地方法人税の撤廃」として,「地方法人税は速やかに撤廃」し「法人住民税に復元すること」*3を提案.三つめは,「法人実効税率の見直し」に対しては3つの事項を提案する.まずは「法人実効税率の引下げに際して」「地方自治体に影響を与えないよう恒久的かつ確実な代替財源を確保すること」,そして,「地方自治体が実施している超過課税の見直し要請等を行わないこと」,さらには「法人事業税における中小法人への外形標準課税の拡大に対して」「その負担に配慮し慎重に検討すること」*4とある.
最後に「地方分権に資する地方税財政制度改革の推進」として,「地方分権の確立に向けた国と地方の役割分担の見直しと併せ」,「国と地方の税収比率を歳出比率に見合うものとするため」の「地方税の充実・強化を進めること」,「財源保障機能及び財源調整機能を担う地方交付税の法定率引上げ」「地方の実態に見合った財政需要を地方財政計画に的確に反映することなど」「国が責任を持って対応し」「地方交付税総額を確保すること」,そして「臨時財政対策債は速やかに廃止」し「地方交付税の法定率の引上げにより」「本来の姿である地方交付税に復元すること」*5を提案する.「事務の性格と負担区分を整合的に整理する」*6ことにも結びつくか,同提言への検討状況は,要観察.

*1:東京都HP(これまでの報道発表2014年11月『日本再興を支える地方税財政の確立に向けて』都市からの提言」について)「『日本再興を支える地方税財政の確立に向けて』都市からの提言

*2:前掲注1・東京都(『日本再興を支える地方税財政の確立に向けて』都市からの提言)5頁

*3:前掲注1・東京都(『日本再興を支える地方税財政の確立に向けて』都市からの提言)7頁

*4:前掲注1・東京都(『日本再興を支える地方税財政の確立に向けて』都市からの提言)7頁

*5:前掲注1・東京都(『日本再興を支える地方税財政の確立に向けて』都市からの提言)11頁

*6:神野直彦, 小西砂千夫『日本の地方財政』(有斐閣,2014年)215頁

日本の地方財政

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