宮崎市の戸敷正市長は1日の市議会で、地域経済の活性化や公共サービス維持に向け周辺市町村と連携する「地方中枢拠点都市」となることを宣言した。拠点都市の宣言は全国初。来年3月にも隣接する宮崎県国富、綾両町と協約を結び、2015年度中に拠点都市として正式にスタートする。
 拠点都市は、人口減少対策として国が形成を促進する広域都市圏で中心的な役割を担う。人口20万人以上などが要件で、国の財政支援が受けられる。候補は全国に61市あり、兵庫県姫路市など9市が総務省のモデル事業で先行的に取り組みを進めている。宮崎市は、国富、綾両町以外の県内市町村とも連携する考え。戸敷市長は宣言の中で「地域経済を力強くけん引し、人口減少のスピードを抑え、圏域全体の活性化を図る」と強調した。

本記事では,宮崎市における「地方中枢拠点都市」の宣言を紹介.
「地方圏」として「相当の規模と中核性を備える圏域の中心都市」が「近隣の市町村との連携に基づいて」「圏域全体の将来像を描き」「圏域全体の経済をけん引し圏域の住民全体の暮らしを支えるという役割を担う意思を有すること等を明らかにするため」*1に行われる宣言.要綱では,以下の6項目*2を「記載した書面」である「地方中枢拠点都市宣言書」を「作成し,公表」することが求められている.

  • 1.近隣の市町村を含めた圏域全体の経済のけん引等において中心的な役割を担うとともに,当該市町村の住民に対して積極的に各種サービスを提供していく意思
  • 2.圏域の現在の人口と将来推計人口(平成24年1月に国立社会保障・人口問題研究所が公表したものに基づくものに限る)
  • 3.圏域内の公共施設等による各種サービス機能,中核的な医療機能,大規模商業・娯楽機能その他の行政及び民間分野に係る都市機能の集積状況並びに近隣の市町村の住民による当該機能の利用状況等
  • 4. 3.に掲げる都市機能等を活用して,近隣の市町村と連携して取り組むことを想定する分野
  • 5.当該地方中枢拠点都市に対して従業又は通学する就業者数及び通学者数を,常住する就業者数及び通学者数で除して得た数値(以下「通勤通学割合」という.)が0.1以上である市町村の名称
  • 6.5.のほか当該地方中枢拠点都市の近隣にあって,当該地方中枢拠点都市と連携する意思を有する市町村があるときは,その名称

同市による「地方中枢拠点都市宣言」では「国富町及び綾町との圏域の形成に向けて取り組」み,「両町以外の市町村」とは「施策や事業ごとに連携すること」で「重層的な都市圏の形成を図るように取り組んでいく」*3ことを明記する.
「「人の流れ」を大きく変える役割」*4を想定されている同制度.今後の連携協約の内容は,要観察.

*1:総務省HP(広報・報道報道資料一覧 2014年8月地方中枢拠点都市圏構想推進要綱の制定 平成26年8月25日)「地方中枢拠点都市圏構想推進要綱」(平成26年8月25日(総行市第200号)制定)3頁

*2:前掲注1・総務省(地方中枢拠点都市圏構想推進要綱)4頁

*3:宮崎市HP(お知らせ地方中枢拠点都市宣言)「地方中枢拠点都市宣言」(平成26年12月1日,宮崎市)1頁

*4:増田寛也編著『地方消滅 東京一極集中が招く人口急減』(中央公論新社,2014年)52頁