東京都は25日、2015年度から、おおむね10年間で取り組む施策を盛り込んだ「長期ビジョン」を発表した。急速な高齢化に対応し、25年度末の特別養護老人ホームの定員を13年度末の約1.5倍の6万人とする目標を明示。20年東京五輪パラリンピックに向け、外国人観光客の受け入れ態勢の強化も打ち出した。
 長期ビジョンは舛添要一知事が掲げる「世界一の都市・東京」を実現するため、計367項目の施策を列挙。9月にまとめた中間報告案に都民の意見などを反映させて最終決定した。都は、25年に都民の4人に1人が65歳以上の高齢者になると予測。これを踏まえ高齢化対策では、高齢者向けの施設整備の加速を掲げた。入所待機者の多い特養の定員増のほか、認知症高齢者グループホームの定員を約2.3倍の2万人とし、サービス付き高齢者向け住宅も約2倍の2万8000戸確保する。
 子育て支援では、保育所などの開設費用を補助し、利用児童数を17年度末までに4万人分拡充して27万5000人とし、待機児童解消を実現。また、五輪の開催効果を見据え、外国人観光客を13年の681万人から24年に1800万人に増やす目標を提示。無線回線「WiーFi(ワイファイ)」に無料でつながるエリアの拡大など環境整備に取り組む。

本記事では,東京都における長期ビジョンの策定を紹介.2014年9月16日付の本備忘録では同ビジョンの中間報告の策定を記録.本記事では,成案を紹介.同ビジョンは,同都HPを参照*1. 
「『世界一の都市・東京』の実現」という「将来像」のもと,「2020年」のオリンピック・パラリンピック「大会開催時」と「おおむね10年後の東京の姿」*2を示した同ビジョン.「史上最高のオリンピック・パラリンピックの実現」と「課題を解決し,将来にわたる東京の持続的発展の実現」の2つを基本目標におき,同目標もとに策定された個々の政策は「経済の活性化と生活の質の向上」「ハードとソフトの融合」「官民の政策連携と規制緩和」「先端技術の積極的な活用」 「女性の活躍,高齢者の社会参加」という「5つの視点」で共通しており,「政策目標」としては「約360」*3項目で「数値目標の明記」*4がなされている.同「ビジョンに掲げる政策目標の実現に向けて」「具体的な事業工程と実施の裏付けとなる事業費を示した3か年の実施計画を定め」*5ており,具体的には2015年度からの「8つの都市戦略」の「3か年事業費」の総額は「37,400」億円と推計されている.
2014年12月25日付の同都知事による記者会見では,数値目標の経緯は,「数値目標をつくるときに」ただ,希望的観測とか,こういうことをしたいなということでやるのではなくて」「具体的な政策手段がどこにあるのか,どれだけの予算が組めるのか,それから,例えば土地がどれだけ空いているのかということ全てを組み立てて,それを総合的に計算して実現可能な形でやって」*6いると説明されている同ビジョン.同ビジョンの具体化は,要観察.

*1:東京都HP(これまでの報道発表2014年12月「東京都長期ビジョン」の策定について 平成26年12月25日 政策企画局)「東京都長期ビジョン

*2:前掲注1・東京都(東京都長期ビジョン)14頁

*3:前掲注1・東京都(東京都長期ビジョン)15頁

*4:松井望「第10章 政策体系と政策過程」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)208頁

地方自治論入門

地方自治論入門

*5:前掲注1・東京都(東京都長期ビジョン)422頁

*6:東京都HP(知事の部屋舛添知事記者会見)「舛添知事定例記者会見平成26年12月25日(木曜)15時30分〜16時02分)