二〇二〇年東京五輪パラリンピックに向け、受動喫煙の防止対策を話し合ってきた東京都の検討会(座長・安念潤司(あんねんじゅんじ)中央大大学院教授)が二十九日夜、新宿区内であり、提言をまとめた。焦点だった条例制定については、是非の判断を示さないまま「一八年までに条例化の検討を行うこと」を求めるにとどめ、先送りされた。
 提言は、〇四年のアテネ大会以降の五輪開催都市で、罰則付きの法律や条例で受動喫煙防止の規制が行われていることを踏まえ、都に開催都市として受動喫煙防止の取り組みの工程表を示すことや、一八年までに条例化を検討することを求めた。
 また、東京五輪は東京都以外でも競技が開催されるとして、法律での規制を国に働き掛けることを求めたほか、飲食店・宿泊施設では分煙、禁煙の表示を徹底するなどの対策を進めること、事業者が従業員を受動喫煙から保護する対策を取れるよう支援することを盛り込んだ。
 検討会は、舛添要一知事が昨夏に出演したテレビ番組で条例化に意欲を示したのがきっかけで、昨年十月に設置。意見を聴取した十団体のうち飲食、たばこ販売などの事業者団体は条例による一律規制をしないよう求めた。十二人の委員も条例化を主張する医師らと、慎重な法学者らで意見が分かれていた。
 受動喫煙防止のため、東京都は現在、公共の場所は原則禁煙と定めたガイドラインを基に対策に取り組んでいる。他の道府県では、神奈川県と兵庫県に罰則付きの条例がある。国は二〇〇三年施行の健康増進法で、多数の人が利用する施設の管理者に受動喫煙防止の措置を求めているが、努力義務で罰則はない。

本記事では,東京都における受動喫煙防止対策の方針を紹介.
2014年8月18日付同年10月31日付2015年5月25日付の各本備忘録にて記録した,同都における同対策.本記事では,同都が設置した「受動喫煙防止対策検討会」*1の第6回会議が2015年5月29日に開催され「検討会のとりまとめ」*2が行われたことを紹介.なお,本記事の見出しにある「都民の3/4規制求める」は,同日付で同紙が報道した*3,国立研究開発法人国立がん研究センターによる「東京オリンピックのたばこ対策について都民アンケート調査報告書公開」*4結果に基づく値.
2015年3月30日に開催された第5回会議で審議された「東京都への提言」は「座長とりまとめ案」*5として,次の項目が検討.

  • (1)国に対して全国統一的な法律での規制を働きかけるとともに,現行のガ イドラインに基づく対策を強化すること.ガイドラインでは禁煙が原則であるが,過渡的には分煙対策を推進し,事業者に対し実効性のある対策となるよう,財政的な支援を行うこと.
  • (2)受動喫煙に暴露されている未成年者や従業員を保護するための対策を講じること.そのために,従業員対策を行っている事例を幅広く収集し,普及啓発に活用すること.
  • (3) (1)と(2)について,取組の工程表を提示すること.
  • (4)2020年オリンピック・パラリンピックに向けて,2018 年までに国の動向やガイドラインに基づく対策の効果を踏まえ,条例化を見据えて受動喫煙防止対策を再検討すること.

本記事によると,第6回会議では「都に開催都市として受動喫煙防止の取り組みの工程表を示すこと」として,具体的には2018年までに「条例化を検討すること」が提案された模様.現在のところ,同取りまとめは,同都HPでは掲載されていない.「やめるのが難しい習慣」*6のなかで,やめようとする方への「対策」の具体的内容は,公表後,要確認.