山形県酒田市は来年度から、高卒で採用した市職員のうち希望者を対象に、同市の東北公益文科大学酒田市)に、割安で入学できる制度を導入する。
 市や同大によると、自治体が職員を大学に進学のために派遣する制度は全国で初めて。若者の流出に悩む市側と、定員割れに苦しむ大学側の双方の課題を解決する狙いがある。
 この制度では、入学金27万円が免除され、授業料など年間85万円の学費も半額となる。日中は大学に通い、夏休みなど長期間にわたって授業がない時は総務課付として業務にあたる。月に1度、研修リポートの提出を義務づける。給与は通常勤務した場合と同様に支払われる。
 市総務課によると、高卒で市職員(行政職)の採用試験をパスしたのは、2013年度は受験者22人中4人、14年度は26人中3人で、「狭き門」となっている。筆記試験は成績優秀で、面接でも働く意欲の高い人材が集まるという。市は、意欲的な職員を大学に派遣することにより、「住民ニーズの調査手法や具体的な施策の立案など、職員として必要な力を養うことができる」と期待を寄せる。
 今回の制度導入の背景には、自治体と大学ともに悩む「若者の確保」の問題が背景にある。酒田市を含む庄内地方では、若年層の地域外流出が深刻だ。県庄内総合支庁が昨年卒業した高校3年生に対して行ったアンケートによると、進学を希望する1207人のうち、同地方で進学を決めたのは99人(8・2%)、就職希望の680人のうち、地元で就職したのは416人(61・2%)にとどまる。
◇定員割れ対策 大学側も歓迎
 大学側にとっても、入学料や授業料を減免してでも市職員を受け入れたい事情がある。同大によると、定員は235人だが、今年度は182人、昨年度は169人と、近年は定員割れが続いている。市職員に適用される入学金全額と授業料などの半額免除は、一般の学生であれば入試で上位に入る一部の特待生と同じ待遇という。吉村昇学長は、「優秀な人材はぜひとも受け入れたい」と強調し、「経営、政策、社会福祉など行政と関係のあるコースがたくさんある。4年間で立派な社会人に育てて市役所に送り出したい」としている。

本記事では,酒田市における同市職員への修学支援制度の取組方針を紹介.
「経済的な事情等で大学進学を選択せず」,同市の「職員として就職する道を選択」した者に,「大学進学希望の実現と市職員としてより高い志を持」つことを目的に,「東北公益文科大学」に「入学できる」*1同制度.対象は,2015年度の同市「職員採用試験」で「合格した」者で,同大へと「入学を希望する」」*2者が対象.「学費」については,「授業料」は「本人の負担」となるものの,「入学金は免除」「授業料・施設整備費は半額免除」*3となる.また,修学期間での「給与は通常と同様に支給」*4される.
職員の継続的な「自学」*5を支援する同制度.同制度の利用状況は,要観察.

*1:酒田市HP(組織別一覧総務部総務課職員係職員採用のお知らせ(H27高校卒業程度行政・土木B・保健師・保育士・土木C))「東北公益文科大学修学制度の概要

*2:前掲注1・酒田市東北公益文科大学修学制度の概要)

*3:前掲注1・酒田市東北公益文科大学修学制度の概要)

*4:前掲注1・酒田市東北公益文科大学修学制度の概要)

*5:稲継裕昭『自治体の人事システム改革』(ぎょうせい、2006年)94頁

自治体の人事システム改革―ひとは「自学」で育つ

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