千葉県野田市は4日、東日本大震災の影響で解雇されたり内定を取り消されたりした被災者を対象に、10月1日付採用の正規職員を5人程度募集すると発表した。筆記試験や面接も東北地方で行う予定。
 市によると、1986年4月から90年4月までに生まれた大卒程度が対象。職種は一般事務職2人と土木技術職3人で、2012年度の採用予定を前倒しした。6月中旬から募集を始め、7月上旬に筆記試験、8月上旬に面接を行う。野田市は「希望があれば、行政経験を積んだ後に地元へ戻って、町づくりに励んでほしい」としている。

本記事では,野田市における職員採用の取組を紹介.この度の東日本大震災の「被災者」を対象に「正規職員」として採用を行われる模様.同取組の詳細に関しては,現在のところ,同市HPでは公表されていない模様.公表後,要確認.
2011年3月31日付の読売新聞による報道では,摂津市にて「居住地の限定はない」ものの,「被災地に近い東北か関東地方で試験を行う」ことで「東日本巨大地震で職を失うなどした被災者を支援」できるように,「来年4月1日付の定期採用を6か月前倒し」され「10月1日に10人前後の正職員を採用」*1方針が紹介.一方で,本市では,摂津市とは異なり,この度の大震災により「解雇されたり内定を取り消されたりした被災者」を対象と受験資格を限定されたうえで,「正規職員」としての「筆記試験や面接」を実施され,加えてこれらの競争試験及び選考も「東北地方で行う予定」,「10月1日付採用」される方針とのこと.なるほど.生業確保には有効な取組.
ただ,地方公務員第13条では「すべて国民は,この法律の適用について,平等に取り扱われなければならず」,そして,同法第19条にいう「競争試験」では,「人事委員会の定める受験の資格を有するすべての国民に対して平等の条件で公開されなければならない」との規定もある.そのため,「具体的に何が平等であるか,あるいは平等に反するかということを明らかにすることは必ずしも容易ではない」*2ものの,これらの「制度規制」*3のもとで,特定地域の方のみを「正規職員」として,公募されることが,平等原則との兼ね合いが制度的には受容されるものではあるかは,これちらも要確認.

*1:読売新聞(2011年3月31日)「被災地近くで採用試験…大阪・摂津市

*2:橋本勇『新版 逐条地方公務員法』(学陽書房,2002年)185頁

新版 逐条地方公務員法

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*3:金井利之『自治制度』(東京大学出版会、2007年)41頁

自治制度 (行政学叢書)

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