東京都の小池百合子知事は22日、2020年までの中期計画で、約500項目の政策目標を掲げ、4カ年で5.6兆円を投じることを明らかにした。成長戦略だけでなく、住宅の耐震化率の95%や保育サービスの定員の7万人増など都民の暮らしについての内容も目立つ。高めの目標の達成に向け、今後、実行段階に入る。
 今回の計画は舛添要一前知事時代の14年におおむね10年間の計画としてまとめた「長期ビジョン」をベースにした。これに、無電柱化の推進や待機児童の解消など小池知事の公約を具体化し、17〜20年度の4カ年の政策目標として約500項目を掲げた。
 このうち約200項目は新規の取り組みで、約50項目は目標の上方修正や前倒しをした。「これから東京が何を狙っているのか、細かく書き込んだ」(小池知事
 安全・安心な街づくりでは無電柱化の条例を17年度に制定、都道全線で電柱の新設を禁止する。区市町村が低コストの無電柱化工事に先駆的に取り組む場合の財政支援も始める。住宅の耐震化率は84%(15年度末)から95%以上に引き上げる。
 誰もが活躍できる社会づくりでは、少子高齢化への対応や障害者支援、女性の活躍推進などに取り組む。19年度末までに待機児童を解消すると明記。保育サービスの利用者数を7万人分増やす。具体的には新たな施策として私立幼稚園での長時間預かり保育などの普及を促す。働き方改革では法令の水準を上回る在宅勤務制度を整備した中小企業への奨励金を新設する。
 高齢者施策は25年度までに特別養護老人ホーム6万人分を整備する長期ビジョンの目標を継承。新しい取り組みとして、認知症グループホームについて土地・建物所有者と運営事業者を結びつけるマッチングの仕組みを導入する。女性の活躍推進では都の支援で年500人の起業、同1万1500人の就職を目指す。
 人材育成にも力を入れる。高校生を対象にした給付型奨学金の創設・拡充、都立高校での英語授業の導入などを新規に打ち出す。
 環境・金融の先進都市を目指す政策ではレジ袋の無償配布ゼロに向けてスーパーなどの協議会を立ち上げる。金融系の外国企業は40社を誘致。ビッグデータ人工知能などの先端企業や研究開発拠点も呼び込む。20年五輪で福島県産の水素を新エネルギーとして活用する方針も盛り込んだ。
 一連の政策目標とは別に「東京の未来像」も提示した。例えばテレワークで通勤ラッシュがなくなり、自動運転技術の進歩で渋滞や事故がゼロになるという。若手職員のワークショップでアイデアを募るなど立案過程も工夫を凝らした。
 今回は中期計画全般についても「(都民の)自分自身がかかわっていく思いを大切にしていきたい」(小池知事)として、検討の初期段階から都民の意見を広く募集をした。

本記事では,東京都における「2020年に向けた実行プラン」の公表を紹介.
2016年10月27日付の本備忘録では,同実行プラン案の策定体制を記録.2016年12月22日には,2017年度から2020年度までの「4か年を計画期間」とする『都民ファーストでつくる『新しい東京』〜2020年に向けた実行プラン〜』*1の「策定」*2を公表されている.「計画期間と政権任期」*3内での実施状況は,要観察.

*1:東京都HP(各局のページ政策企画局プラン策定会議)『都民ファーストでつくる『新しい東京』〜2020年に向けた実行プラン〜

*2:東京都HP(都政情報報道発表これまでの報道発表 報道発表/平成28(2016)年 12月:)「「2020年に向けた実行プラン」を策定」(2016年12月22日,政策企画局)

*3:伊藤正次,出雲明子,手塚洋輔『はじめての行政学』(有斐閣,2016年)225頁

はじめての行政学 (有斐閣ストゥディア)

はじめての行政学 (有斐閣ストゥディア)