横浜市は、衛生面と耐震性に優れた民間施設の貯水槽を「災害時給水協力貯水槽」に認定する制度を全国で初めて開始した。第一号には、パシフィコ横浜(西区)の貯水槽を認定。大規模災害で上水道が寸断された際、帰宅困難者や周辺住民らに飲料水を提供する。
 パシフィコ横浜には容量二百八十六トンの貯水槽があり、三万人が三日間必要とする飲料水を賄える。パシフィコ横浜鈴木隆社長は「東日本大震災では八千人の帰宅困難者を受け入れた。今後も社会貢献に力を入れる」と話した。
 認定では、各施設の貯水槽の衛生状態と耐震性の法定検査をしている全国給水衛生検査協会と連携。検査で「管理優良施設」と認められた貯水槽の情報を市に提供してもらい、施設側の了解を得られれば災害時給水協力貯水槽に認定する。
 これまで災害時の飲料水は、給水車に頼るか、貯水槽を持つ民間施設の自主的な提供に委ねていた。今後は横浜アリーナ港北区)など、大規模な貯水槽を持つ施設を中心に、災害時給水協力貯水槽の認定を進めるという。 (志村彰太)

本記事では,横浜市における災害対策の取組を紹介.
同市では「地震等災害発生時に上水道が利用できなくなった場合」に備えて「各家庭や企業に」「一人1日3リットル,3日間分で9リットルの備蓄を呼びかけ」ているなか,これらを「補完する新たな応急給水源として」「ビルや商業施設などに設置されている貯水槽の水を活用する」よう「管理が優良で災害時に」「周辺住民や帰宅困難者」等の「地域住民等」に「可能な範囲で貯水槽の水を提供していただける施設」を「災害時給水協力貯水槽」と「 認定する制度」*1を導入.本記事では,同制度に基づく認定結果を紹介.
認定手続きは,次の通り.まずは「(一社)全国給水衛生検査協会」が「衛生確保に加えて,防災対策等が講じられている施設」を 「管理優良施設」と「認定」,次いで,「同協会から横浜市」に「管理優良施設の情報を提供し」,同市から「施設へ災害時の給水協力」を「依頼」する.「その結果,協力の申出」がある「施設」を「災害時給水協力貯水槽」に「認定」*2する.「民間との連携協力」*3により実施される同認定制度.対象施設の認定状況は,要観察.

*1:横浜市HP(記者発表資料2017年1月 全国初 災害時給水協力貯水槽の認定制度を開始 〜第1号にパシフィコ横浜を認定〜)「全国初 災害時給水協力貯水槽の認定制度を開始~第1号にパシフィコ横浜を認定〜」(平成 29 年1月25日,健康福祉局生活衛生課)

*2:前掲注1・横浜市(全国初 災害時給水協力貯水槽の認定制度を開始~第1号にパシフィコ横浜を認定〜)

*3:岡本全勝,藤沢烈, 青柳光昌『東日本大震災 復興が日本を変える』(ぎょうせい,2016年)70頁

東日本大震災 復興が日本を変える-行政・企業・NPOの未来のかたち

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