高知県大川村の和田知士村長は18日、地方議員の兼業禁止規定の緩和などを求める提言を野田聖子総務相に提出した。非営利事業の法人役員との兼業を容認することなどで立候補しやすい環境を整備すれば、将来の担い手不足を懸念する村議会の維持が容易になると訴えた。総務相は「私たちも研究して意見交換できれば」と引き取った。
 地方自治法は地方議員がその自治体の業務を請け負う企業の役員などと兼業することを禁じている。大川村は提言で福祉など非営利事業を対象外とするよう求めた。
 大川村は将来、村議を確保できない懸念があるとして村議会の代わりに、有権者全員で条例などを審議する村総会を一時検討していた。その後、村議会の維持策の検討に切り替え、1日に対策案をまとめた。

本記事では、大川村における議会維持の検討結果を紹介。
2017年5月2日付同年6月13日付同年8月22日付同年9月12日付の各本備忘録で、「村総会」の設置の検討を記録した同村。2017年12月18日に、本記事でも紹介されている通り、『大川村議会維持に向けた提言について』*1に関して、同「村長」と同村が位置する高知県の「知事」が同相を訪問し「直接お話」*2
同提言では、つぎの3つの事項が提案。一つめは「地方公共団体から補助金の交付又は指定管理者の指定を受けることが、地方議会議員に禁止される「請負」に該当するかどうか、通知等により明確にすること」、二つめは「一定の代替的チェックの仕組みを設けることを前提に、例えば非営利事業を主とする法人の役員等を地方議会議員が務める場合については請負禁止の対象外とするなど、地方議会議員の請負禁止の範囲を見直すこと」、三つめは「議会の政策立案・政策調査活動の強化を図っていくことなどを通じて、専業議員の活動量を大幅に増加し、これに応じた十 分な報酬を支給する仕組みを可能とすること」*3となる。
同提案に対して同相からは、「町村議会のあり方に関する研究会」「引き続き」「しっかり検討していただく中で」「年度内には議論の取りまとめを」する方針が示されている。同見直し等が実現された場合での、「議員の社会的背景」*4の状況は、要観察。

*1:高知県HP( 組織から探す総務部市町村振興課)「大川村議会維持に向けた提言について」(平成29年12月18日、高知県土佐郡大川村 高知県

*2:総務省HP(広報・報道大臣会見・発言等)「野田総務大臣閣議後記者会見の概要(平成29年12月19日)

*3:前掲注1・高知県( 大川村議会維持に向けた提言について)

*4:北村亘、青木栄一、平野淳一『地方自治論 2つの自律性のはざまで』(有斐閣、2017年)31頁。

地方自治論 -- 2つの自律性のはざまで (有斐閣ストゥディア)

地方自治論 -- 2つの自律性のはざまで (有斐閣ストゥディア)