埼玉県深谷市は26日、廃校となった市立小学校の体育館の敷地売却で、落札価格が0円を下回り、市側の支出が伴う「マイナス入札」が成立したと発表した。土地評価額を体育館の解体費が上回るためで、市内の食品加工会社の経営者がマイナス795万円で落札した。市によると、マイナス入札の成立は全国の自治体で初めてという。
 対象の敷地は約1506平方メートルで、市は予定価格をマイナス1340万6000円に設定。用途は住宅に限定し、落札者が体育館を解体することを条件にしたのに対し、2者が応札した。
 入札結果に基づき、解体費の一部として795万円を負担する市は「今回、落札した土地に3人家族6世帯分の分譲住宅ができると、10年間で約1700万円の税収が見込める」と指摘。中長期的には土地を譲渡するメリットがあると話す。

本記事では,深谷市における入札の取組結果を紹介。
同市では,「予定価格をマイナスに設定した建物解体条件付き入札」*1を実施。同入札では「予定価格」を「 -13,406,000円」*2と置き,予め「落札額が1円以上」という「プラス」の場合と,「0円以下」の「マイナス」の場合それぞれに「応じて」「異なる」「契約内容等」*3を用意。
「プラス」の場合には,「建物解体条件付き土地売買契約」を締結し,「1,470,000 円」の「契約保証金の納付」。その後,「落札者が売買代金を納付」,「物件の引渡し」,「土地所有権移転登記」を行い,「落札者が解体工事」*4を実施。
「マイナス」の場合には,「建物解体条件付き土地無償譲渡仮契約」を締結し,その後は,プラスと同様に「1,470,000 円」の「契約保証金」を「納付」*5する。ただし,マイナスの場合には「市議会の議決」が必要となり,その後に「本契約」を締結することで「仮契約が本契約へ移行」*6となる。そして,「落札者が解体工事」を行い,その後に「土地所有権移転登記」,「市が負担金支払い」,「建物解体確認後」に「契約保証金」が「還付」*7されることとなる。
本記事では,同入札に対して「2者」の「応札」があり,「マイナス795万円で落札」されたことを紹介。「これまで」は「整備してきた施設」*8の閉じ方の一つの取組。今後の他自治体での実施状況は,要観察。

*1:深谷市HP(市政情報公売市有地の売却・貸付情報)「新たな入札方法による旧中瀬小学校体育館の売却について

*2:深谷市HP(市政情報公売市有地の売却・貸付情報新たな入札方法による旧中瀬小学校体育館の売却について)「 市有地制限付一般競争入札募集要領」3頁

*3:前掲注2・深谷市(市有地制限付一般競争入札募集要領)2頁

*4:前掲注2・深谷市(市有地制限付一般競争入札募集要領)1頁

*5:前掲注2・深谷市(市有地制限付一般競争入札募集要領)1頁

*6:前掲注2・深谷市(市有地制限付一般競争入札募集要領)1頁

*7:前掲注2・深谷市(市有地制限付一般競争入札募集要領)1頁

*8:沼尾波子・池上岳彦・木村佳弘・高端正幸『地方財政を学ぶ』(有斐閣、2017年)223頁

地方財政を学ぶ (有斐閣ブックス)

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