大阪市の吉村洋文市長は26日、2025年国際博覧会(万博)誘致をにらみ市独自の受動喫煙防止条例制定を目指す考えを明らかにした。政府は今国会に対策法案を提出しているが、吉村市長は同法よりも対象施設を広げ、罰則の導入も検討するとした。今夏にも飲食業界や有識者らでつくる検討会を立ち上げ、18年度内に具体的な内容をまとめる。
 受動喫煙防止対策として政府がまとめた健康増進法改正案は、客席面積が100平方メートル以下の飲食店は喫煙を認めるなど例外も多い。吉村市長は記者団に「厳格なルールが必要だ」と述べ、面積30平方メートル以下の小規模なバーやスナックを除く飲食店は原則禁煙にする方針を示した。
 大阪府・市は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに25年国際博覧会(万博)の誘致を目指しており、技術革新などにより健康長寿を実現する構想を掲げる。吉村市長は25年までに条例を制定し規制を導入したいとした。府にも同様の受動喫煙対策を求める方針で、万博誘致に弾みをつける狙いもある。
 ただ、客足が遠のくことを懸念する小規模飲食店などから反発も予想される。市長が想定する規制内容は厚生労働省が当初示した政府の法改正案と同じだが、飲食業界に配慮した自民党の反発で修正を迫られた経緯がある。吉村市長は、今夏にも立ち上げる検討会での議論を踏まえ、段階的な規制強化も検討する。
 受動喫煙対策を巡っては、東京都が政府の法案よりも規制範囲を広げた条例の骨子案を示すなど、自治体独自のルール策定を目指す動きが広がっている。

 大阪府松井一郎知事は27日、2025年国際博覧会(万博)誘致をにらみ府独自の受動喫煙防止条例を制定する考えを明らかにした。大阪市の吉村洋文市長も市独自の条例制定を目指しており、今後、規制内容や条例案提出の時期を府市で協議する。松井知事は記者団に「経過措置をとって万博のころまでには成立させたい」と話した。
 府市が検討するのは、政府が今国会に提出している対策法案よりも対象施設を広げる厳しい内容。面積30平方メートル以下の小規模なバーやスナックを除く飲食店は原則禁煙としたい考えだが、客足に影響する飲食業界などからの反発も予想される。

両記事では、大阪市大阪府における受動喫煙規制の検討方針を紹介。
第1記事では、2018年4月26日に同市にて「受動喫煙防止条例制定を目指す考え」が示され、第2記事では同年同月27日に同府にて「府独自の受動喫煙防止条例を制定する考え」が示され、「今後、規制内容や条例案提出の時期を府市で協議する」予定であることが紹介。第1記事によると同市の序例案では「面積30平方メートル以下の小規模なバーやスナックを除く飲食店は原則禁煙にする方針」が検討されている模様。同市が2007年4月に施行した「路上喫煙の防止に関する条例」*1、同府が2014年12月に策定した「大阪府受動喫煙の防止に関するガイドライン*2に基づく各取組の「対策実積」*3を踏まえた条例案の検討状況は、要観察。

*1:大阪市HP(なくそう、迷惑たばこ。:「路上喫煙の防止に関する条例Q&A

*2:大阪府HP(健康・医療健康たばこ対策「大阪府受動喫煙の防止に関するガイドライン」を策定しました)「大阪府受動喫煙の防止に関するガイドライン

*3:松井望「課題設定と自治政策法務」北村喜宣・山口道昭・礒崎初仁・出石稔・田中孝男編『自治政策法務の理論と課題別実践 鈴木庸夫先生古稀記念』(第一法規、2017年)、280頁

自治体政策法務の理論と課題別実践-鈴木庸夫先生古稀記念

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