京都市地球温暖化対策の一環として、市内にあるコンビニエンスストアに深夜の閉店を求める方針を固めた。省エネで温室効果ガスの排出を減らすほか、消灯で夜の町並みの景観を改善する狙いもある。7月にも業界団体や有識者らによる「市民会議」をつくり、具体案をまとめ、来年度にも実施したい考えだ。合わせて自動販売機の台数規制も検討する。都市部での深夜閉店は珍しく、温暖化対策のモデルになることをめざす。
閉店を求める時間帯は深夜から未明にかけての7、8時間ほどと想定。条例による規制も考えるが、まずはコンビニ店側に自粛してもらう方向で調整する。対象とする地域も市民会議で検討する。コンビニ業界などでつくる日本フランチャイズチェーン協会(東京)によると、同協会加盟の京都市内のコンビニ店は2月末現在で517店ある。深夜帯に働く人らにとっては不便になるとの声もあるが、「環境保護のためにはライフスタイルの変更も必要」と市は理解を求める考えだ。深夜営業が青少年の非行につながっているという指摘もあり、安全・安心の面から規制を求める声もあるという。コンビニ店の深夜営業をめぐっては、長野県軽井沢町が1976年に要綱を定めて午後11時から翌朝6時まで原則として自粛を求めており、大半の店が従っているという。京都市幹部は「都市部では極めて異例だ。京都で実現できれば、全国に通用するモデル的、先導的な取り組みになる」と話す。

埼玉県は、二酸化炭素(CO2)排出削減のため、コンビニエンスストアやスーパーなどに深夜営業の自粛を要請する方針を固めた。年度内にまとめる地球温暖化対策地域推進計画(改訂版)に盛り込む。県によると、同様の自粛要請は「都道府県では例がない」という。
 県によると、農村部にあるコンビニのフランチャイズ店で客が来ないのに本社の指示で店を開けているケースが多い。県は「CO2削減の効果は大きくないが、夜型ライフスタイルを変革する象徴的な位置づけになる。何らかの形で自粛を要請する」としている。県は、要請対象を不採算店に絞るかや、閉店せずに照明を暗くしてもらうだけにするかなど、具体的な要請内容を検討している。埼玉県の方針に各社は「地域の合意があれば従う」(大手コンビニ関係者)との声がある一方、▽「深夜の納品も多く、日中は物流コストがかかる」(ローソン)▽「交番代わりで、防犯の役割もある」(セブン−イレブン・ジャパン)−−などの反発もある。【和田憲二】

 県は十七日、CO2(二酸化炭素)削減対策として、コンビニなどの深夜営業を県条例で努力義務として規制することを検討していく方針を明らかにした。二〇〇八年度中の成立を目指している県地球温暖化対策推進条例(仮称)に盛り込むことを検討する。松沢成文知事が同日の定例会見で明らかにした。
 県が規制対象として想定している事業者は、コンビニ、スーパー、ファミリーレストランなど。県は罰則を設けずに事業者に自粛を求める形での規制を検討する考えで、規制効果として夜間の電力、冷暖房の使用量の削減によるC排出軽減を挙げている。コンビニなどの深夜営業の規制については、有識者らで構成する県地球温暖化対策推進方策検討委員会が、同推進条例の在り方について近くまとめる予定の最終報告の中に盛り込む予定。この報告を基に県は九月ごろに同条例案の骨子案を公表し、県民からの意見募集などを経て本年度内の成立を目指している。

上記記事では,京都市,埼玉県,神奈川県において,二酸化炭素排出削減のために,コンビニエンスストアに対して,営業時間を短縮するよう自粛要請を行うことを検討していることを紹介.
いずれにおいても対事業者の営業を制限する内容となるため,その実現度は未確定.「泣く子と行政には勝てない」*1とも云われることがあるが,まずは事業者と行政側との対話が不可欠.仮に,対話が成立した場合,協定又は要綱等に基づき,事業者側への「間接規制の一種としての自己規制」*2に依拠することになるのだろうか.ただ,その際,例えば,ローソンであれば,新規設置店舗の照明の全てにLEDを導入することで,二酸化炭素の削減図ることを表明*3し,事業者としての低炭素化に積極的であることを示しているなかで,より厳格に営業自体を抑制するという,自主規制を受容する理由(メリット)を,事業者(事業者団体)側に如何に示すことができるのかが制度設計上の論点か.自治制度の設計と異なり,規範や理念だけでは押すこともできまい,事業者が納得し,自治体側の意向を実現できるような良案らしきものは想起出来ないが,少し,この点は考えてみたい,
「塊より始めよ」で,庁内ポリティクス等の理屈で,実現できない部分も多々ある自治体側での排出抑制こそが先決課題か(「行革こそがエコ,エコこそが行革」(って,しつこい)).

*1:北村喜宣『自治体環境行政法第4版』(有斐閣,2006年)62〜63頁

自治体環境行政法

自治体環境行政法

*2:原田大樹『自主規制の公法学的研究』(有斐閣,2007年)240頁

自主規制の公法学的研究 (九州大学法学叢書 1)

自主規制の公法学的研究 (九州大学法学叢書 1)

*3:朝日新聞(2008年6月16日付)「ローソンが店舗照明にLED導入、CO2削減図る