道庁地下1階食堂の運営をめぐり、現在委託を受けている道幹部の天下り会社「北海道職員厚済会」(札幌市中央区)が、応募を辞退する意向を道側に伝えていたことが分かった。厚済会については、テナント業者からの諸経費を「二重取り」するなど不明瞭(めいりょう)な運営が発覚したため、批判を考慮したとみられる。厚済会は73年の設立以来、道庁食堂と売店を運営していたが、独占運営に対して道議会から批判が上がり、道は今年2月に公募選定を実施。地下食堂は再び厚済会が選ばれたため、門戸を広げる形で22日から再公募を始める。厚済会は毎日新聞の取材に対し「話せることは何もない」と話している。売店と庁舎最上階の喫茶店は公募によって、それぞれコンビニエンスストアと札幌市内の飲食店が運営している。【鈴木勝一】

同記事では,北海道庁内にある地下食堂において,現在委託を受けている北海道職員厚済会が,公募選定への募集を自体することを紹介.同食堂については,同会HPを参照*13月4日付の本備忘録にも記したように,残りの自治体行政の観察人生において「役所食堂(職員食堂)の行政学」の樹立をコッソリと目指すつもり(本当か?)の下名としては,役所食堂(職員食堂)の調達形態を考える上で要観察事例.
公募条件を見るために,同道HPを拝見すると*2.一日あたり「2,100食」 *3を提供する食堂が想定されている.所定の申請書に基づき審査が進められるが,まずは,「総務部人事局職員厚生課健康増進グループにおいて事前審査」(形式的要件審査)(10頁)が行われた後,総務部の人事局長を委員長とし,同部総務課長,同部人事局職員厚生課長,自治労北海道庁札幌総支部推薦者とその他民間有識者マーケティング企画分野,経営診断分野,健康管理分野,食品衛生分野)によって構成される「北海道本庁舎食堂運営業務プロポーザル審査会」(9頁)が設置され,「報告された事前審査に基づき審査」(10頁)が行われる.審査会では,事前に設定された「審査に係る評価の視点」*4に基づき得点化し,得点が最も高い応募者を選定という手順を採用している.
財団法人外食産業総合調査研究センターによる2007年の「外食産業市場規模推計」*5の結果を拝見させていただくと「事業所給食」の市場規模の対前年増加率では,2005年は2.8%減,2006年は2.5%減と続くなかで,2007年には0.3%増となっており,同分野の市場規模は拡大傾向にある(特に,「社員食堂等給食」に関しては対前年増加率が2005年は2.4%減,2005年は2.9%と減少の様相にあるなかで,2007年には0.8%増にある.「施設数は減少しているものの,事業者が増加していること」(1頁)もあり,市場規模もやや盛り返しつつはある).なお,より長期的な変遷を見るために,総務省統計局・政策統括官HPを参照*6すると,1997年の1兆4,960億円をピークに,緩やかな縮小傾向にあることが分かる.これらの統計では,地域毎での特性は把握できないが,同記事の取り組みを通じて,同道における外食産業の市場規模拡大の一機会ともなりうるか,要観察.
なお,蛇足.首相の「夜の会合」報道があるものの,報道の「真意」が分かるようで,よく分からない部分も残る下名.例えば,上記統計資料を見てみると,「ホテル,旅館での食事・宴会などの宿泊施設の市場規模」は,「喫茶・酒場等」「料亭・バー等」の総数である「料飲主体部門」が5兆2,160億円であることかららすれば,ホテル・旅館での食事・宴会を表す「宿泊施設」は3兆1,333億円と,約6割の規模.更には「旅館関係での施設数の減少などにより全体として前年より0.8%減少」*7の市場でもある.となると,「夜の夜会」,補正予算補正予算としても,まずはある意味「塊より始めよ」の景気対策一環か,とも思ったりもしなくもない(ただ,統計上,ホテルのバー「料飲主体部門」に含まれるのか,「宿泊施設」に含まれるのか,実はよく分からないが・・・).すると「夜の会合」は「夜の会合」で良しとしても,各社の報道とも,もっと他部門への均衡ある景気対策を,ということが報道の真意なのだろうか.よく分からない.

*1:株式会社北海道職員厚済会HP 「道庁大食堂

*2:北海道庁HP(総務部:人事局職員厚生課) 「北海道本庁舎食堂出店者の公募について

*3:北海道庁HP(総務部:人事局職員厚生課) 「北海道本庁舎食堂出店者公募要領」(平成20年10月)3頁

*4:北海道庁HP(総務部:人事局職員厚生課) 「別表1 審査に係る評価の視点

*5:財団法人外食産業総合調査研究センターHP統計資料)「平成19年外食産業市場規模推計について]」

*6:総務省HP(統計局・政策統括官(統計基準担当)・統計研修所)(日本の長期統計系列)「第13章商業:13-13 外食産業市場規模推計(昭和50年〜平成17年)(エクセル:52KB)

*7:財団法人外食産業総合調査研究センターHP統計資料)「平成19年外食産業市場規模推計について」1頁