仙台市青葉区の町内会「錦町親和会」(約300世帯)が総会を開けず、町内会費も十分に集められていないなど、事実上の活動停止状態に陥っている。役員の担い手不足が原因で、会長も空席になっている。表向きは活動を行っているとして市から年間三十数万円の助成金を得ているが、ほかの町内会からは「活動していないのに助成金を受給するのはおかしい」と疑問の声が上がっている。
  親和会は出席者が定数を満たさないなどの理由で2006年から総会が開かれていない。町内会費も十分に徴収できず、07年度の徴収額は05年度の半分の約15万円にとどまった。住民の話では、活動は「市政だより」の配布ぐらいだという。錦町地区は市街地に近く、マンション建設が相次いで新住民が増える一方、旧住民が減っている。旧住民の減少に伴って役員のなり手がおらず、会長は07年から空席が続いている。副会長の男性(72)は太白区、会計担当者の男性(64)は青葉区にともに数年前に引っ越して地元に住んでおらず、役員会が十分に機能していない。副会長は「地元の住民に役員を任せて活動してもらうのが筋だが、なり手不足でやむを得ず引き受けている」と話す。
  市は市内の町内会に対し、町内会育成奨励金として一世帯当たり年530円、市政だよりなどの配布謝礼金として一部7―10円を支払っている。親和会には05―07年度に約39万―33万5000円を支出した。青葉区のある町内会長男性(63)は「町内会は総会開催と決算報告書などの提出を義務づけられている。それをしていないのに助成を受けるのはおかしい」と語る。市青葉区まちづくり推進課は「親和会は市政だよりを配り、最低限度の活動実体があると判断し、助成金を給付している。地元役員の不在は正常と言えず、会に話し合いを促す」と話している。

同記事では,仙台市青葉区における町内会において,「事実上の活動停止状態」にあることを紹介.会長職は不在,他の役員は他区在住者が就任,総会も3年間程未開催,また,同市からの奨励金として年間30万強が助成はされているものの,決算報告の提出もままならない模様.同会の位置を確認しようと,同区連合自治貝長会HP*1を拝見したものの把握できず.よくよく考えてみると,同記事のように会長不在であるため,同会HPには未掲載なのだろうか.
同市連合町内会長会が,2007年4〜5月に実施した郵送質問紙調査(対象:仙台市内全1,391町内会長,回収率:66.6%)の結果からは,その「困りごと」としては,「役員のなり手不足」(30.3%)が最も多く,次いで,「会員の高齢化・減少」(11.1%)と「合わせると『人的な問題』が全体の4割」あるという.ただ,同調査結果では,その「考察」として,「中には改善・工夫を重ね現状に対応した活動を展開している町内会もあり,その成功事例の情報を紹介させて頂くことも,有効な改善策の一つ」*2と,成功事例の参照による対策の可能性が提示されている.
同種組織の「メンバーシップからマネジメントへ」*3の変化へと至る以前に,まずは,その「メンバーシップ」を如何に確保するかが課題.悩ましい.

*1:青葉区連合自治会長会HP「連合自治会・町内会エリア図

*2:仙台市連合町内会長会HP(新着情報・お知らせ2009/02/19仙台市連合町内会長会 町内会・自治会の組織運営等調査検討部会『町内会・自治会の組織運営等に関する調査報告書』(平成20年10月)3頁

*3:シーダ・スコッチポル『失われた民主主義―メンバーシップからマネージメントへ』(慶応義塾大学出版会,2007年)148頁

失われた民主主義―メンバーシップからマネージメントへ

失われた民主主義―メンバーシップからマネージメントへ