宮城県内の認可保育所(332カ所)の4月1日現在の待機児童数は1131人で、前年同期より139人減ったことが30日、県などのまとめで分かった。半数以上を占める仙台市の待機児童が120人減ったことが影響したものの、依然、仙台圏を中心に入所待ちが多い。一方で待機ゼロの自治体も増え、地域格差が広がっている。
 待機児童数の市町村別の内訳は表の通り。仙台市が620人で、仙台市を除く市町村は計511人と前年同期(530人)から微減。認可保育所への通園はかなわなかったものの、市町村が助成する「認可外保育所」に入ることができたケースは待機児童にカウントしていない。
 待機児童が多いのは、名取市や富谷町など仙台市周辺と大崎市。「働く場があって交通の便が良く、新興住宅がある地域」(県子育て支援室)で増える傾向にある。待機児童がゼロから47人に増えた栗原市は昨年から、子どもが2人以上通うと2人目以降の保育料が無料になる制度を導入。市は「幼稚園から移す親もいて、保育ニーズを掘り起こしたためかもしれない」という。
 県全体の入所児童数は定員(2万6838人)を上回る2万7115人で、前年比189人増。待機児童の多い地域で、定員を超えて受け入れる「超過入所」で対応している。県子育て支援室は「景気後退で母親も働きに出たいと、入所の申し込みが増えている」といい、入所希望がさらに増える地域も出てきそうだ。一方で、待機ゼロの自治体は、前年の13から15に増えた。石巻市気仙沼市、松島町、女川町では少子化などで、入所児童数が定員を100人以上割り込んでいる。

同記事では,宮城県に位置する各市町村において,認可保育所への「待機児童」の状況を,同県が取りまとめたことを紹介.
2009年4月14日には,「現状の政策枠組みの中でも,早急に可能な限り子育て環境を改善し.国民が安心して子育てができるよう」にと,少子化担当大臣より,「総事業費1兆円規模」の子育て支援策として,具体的には「安心こども基金」の大幅拡充(1,000億円から2,500億円),交付金の創設等を含む,『子育て創生&安心プラン〜待ったなしの少子化対策〜』*1が発表されたところ.同プランでは,2008年2月27日に「保育サービス(3歳未満児)の提供割合」を現行の20%から「38%」として,「利用児童数(0〜5歳児)」の100万人増」と,その「量的拡充と提供手段の多様化」を目的に取りまとめられた『新待機児童ゼロ作戦』*2を受けて,その目標値の達成を「加速化」することで「15万人分の保育所等整備」とされており,「雇用情勢の悪化による待機児童の増加に対して速効性のある対応等」とあるものの,その具体的な内容は資料からでは把握できない.残念.
また,同年4月21日には,内閣府に設置されているゼロから考える少子化対策プロジェクトチームにおいて「「安心こども基金」の財源が各自治体や関係者において子育て環境の改善のために有効に使われ,「子育て創生&安心プラン」の内容が実効性ある施策として早急にかつ確実に実施されるよう,強く求め」るとともに「留意すべきであること」として,2009年4月21日に「緊急アピール」*3が提示され,「待機児童がいる自治体は、認可保育所の定員やクラス編成を弾力化し,受け入れ児童を増やすこと」や「公共施設の用地や商店街の空き店舗,定員割れの幼稚園など既存の施設を利用して機動的に保育所を増やすこと」等が提案されている.
ことほどさように,政府レベルでの対応は重点化されている少子化対策.上記プランのように「量的拡充と提供手段の多様化」路線が持続され,需要に対する量的拡大による対応が今後とも継続されることが必要ではあるものの,今後の政府保障の持続性や,保育サービスおける需給管理*4の観点,同記事にもある同一県内における待機児童数の格差(需要の格差の現状を裏返せば,利用状況の格差ともいえそうです)の状況からすると,既存の行政区域を越え保育所の利用状況を踏まえた均霑化の方策がないものか,と常々考えこんでしまう課題.